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日本ユニシス関西支社

万葉の山

柿本人麻呂歌集の山

巻向山・弓月が岳

ウォーク万葉

参照地図→Map1

■巻向の山川

 痛足(あなし)川 川波立ちぬ 巻向(まきむく)の
    弓月が岳(ゆつきがたけ)に 雲居立てるらし

              柿本朝臣人麻呂歌集(7-1087)

 万葉集には「巻向」、「巻向山」、「巻向の川」、「弓月が岳」を歌った歌が十数首見られ、その大半は人麻呂歌集のものである。写実的で、躍動感あふれた秀歌で、人麻呂の作であろう。これほど多くの歌が残されているので、このあたりに人麻呂自身か妻かが住んでいたと考えられている。今日、巻向山と称する山は、三輪山と北の穴師山の間の奥(東)の山である。ピークが幾つかあり、本峰(標高565メートル)が「巻向山」、三角点のある最高峰の南東峰 (標高567メートル)が「弓月が岳」とされている。 山の辺の道の車谷や、檜原社西の井寺池から東を眺 めると、三輪山と穴師山の間に本峰の山頂付近が眺められるが、南東峰はその後ろに隠れている。

 三諸の その山並に 児らが手を 巻向山は  継ぎの宜しも
                     人麻呂歌集(7-1093)

 しかし、この辺からでは、三輪山と巻向山のつながりは見えない。「継ぎの宜しも」を実感するには少し盆地の中央に寄らなければならない。私は山の辺の道をよく歩いていたので、三輪山の奥にわずかに見える巻向山に親しみ、榛原に引っ越してからも、「弓月が岳」を見たいと憧れていた。この度、取材にあたって、地図を見ると、朝夕通勤の途中に見ている、長谷寺の西北にそびえる山が「弓月が岳」だった。初瀬谷からは、山頂から麓まで遮るものなく見える。目から鱗がとれた思いである。三輪山から白山(しろやま、標高350メートル)、巻向山につながる稜線は、まさに「継ぎの宜しも」である。

■巻向山本峰、南東峰の登山道

 巻向山に登るには次のような幾つかの道がある。

1)南東の桜井市白河(しらが)から南東峰へ。
2)白河から巻向山と初瀬山の間の林道(白河・笠林道)を登り、高山(こうぜん)神社から南東峰へ。
3)巻向山と西の三輪山の鞍部にある奥不動寺から、林道を南東峰へ。
4)同じ奥不動寺から、白山を経て本峰へ。
5)巻向川沿いに県道50号線(大和高田桜井線)を遡り、「2号告」から本峰の西の沢を登り切る。
6)5)の登り口の上流(北東)の「8号告」の前から本峰の北の沢を登り切る。
7)6)の登り口の少し上流(東)から沢を登り切り、本峰と南東峰の間の沢に出る

■奥不動寺から巻向山本峰、南東峰へ

 巻向山と西の三輪山の鞍部の奥不動寺へ北から登 るには、山の辺の道の車谷から、巻向川沿いに、桜 井市笠に至る県道50号線を東へ進む。やがて、右に「右不動寺白山道」の石碑があり、右折し、巻向 山と三輪山の間の谷を登って行く。ヒノキの林が美しい。万葉集には「巻向の檜原」(7-1092)、「泊瀬の檜原」(7-1095)や「三輪の檜原」(7-1118、1119)の歌がある。小川を離れ、急坂を過ぎると、やがて奥不動寺に至る。寺の右の石段を登ると稜線に出る。右(西)に登ると三輪山の山頂に至り、まっすぐ下ると、約30分で山麓の朝倉小学校に至る。左に進むと白河や出雲に至る(今回 未確認)。 奥不動寺からは「7号告」の看板の立った林道を登ると、約20分で南東峰の山頂直下に至る。南東峰の山頂へは数分、三角点がある。山頂直前には、初瀬谷越しに音羽山(万葉の倉橋山)の大きな山塊や多武峯が眺められる。本峰へは、左手の赤いテープの巻いてある木を目印に下りの細道を見つける。倒木が多く、難渋する。本峰の頂上一帯は木に覆われ、山頂は不明瞭。奥不動寺のすぐ北に白山がある。山頂一帯は風化の進んだ白い奇岩が露出している。山頂より稜線を北東に辿ると本峰に至る。途中、荒れていて、倒木が道を塞ぐが、林越しに三輪山の山頂や大和盆地や葛城山の雄大な景色が眺められる。

巻向山
山辺の道の柿畑からの巻向山

巻向山
巻向山からの眺望

■白河から南東峰へ

 近鉄長谷寺駅から国道165号線へ。初瀬小学校裏から北へ、山道を登ると白河の集落に出る。集落 の西南の秉田(ひきた)神社の手前に巻向山登山口がある。植林と自然林の境を登る。ヒノキの植林帯に なり、大きな倒木を過ぎると稜線に出、南東峰の直下に至る。植林帯に入る所を左に行くと、道ははっきりしないが5分程で林道に出て、奥不動寺からの林道に合流する。どちらも、登山口から約30分。  白河の集落を北に抜けて、白河・笠林道を1時間程登ると、右に初瀬山に登る道を分けるが、さらに 登ると、左にオカミ山池があり、高山神社の鳥居と小さな社がある。途中はムラサキシキブの紫色の実 が美しかった。坂道を登り左に進むと、奥不動寺から南東峰直下を経て北へ下る道に出る。左に登ると 南東峰、右に下ると、道は切れ、県道50号線に下る道は発見できなかった。

■巻向川から2万5千地図の道を求めて

 2万5千分の1地形図の「初瀬」には、県道50号線から巻向山への5つの林道が点線で記されている。この道を調査した。巻向山一帯の林道は入口は舗装されているが、鎖がつないであり、鍵がかけてあって、「○号告」の看板に連絡先が書いてある。 5)は舗装終点から右の小川沿いに登る。林道の痕跡を頼りに、倒木を乗り越え、川を渡りながら登るが、小川の分岐で道を見失う。左の沢を木をつかみながら稜線まで登る。道はないが木を伝って登ると平らになり、ひと抱え程の石が散在している。山城跡かもしれない。稜線の道の痕跡を辿ると本峰に至る。北の沢から合流する道もあったらしく、合流点から下ったが、見失った。登山口は未確認。  6)は巻向川に板が渡してあり、いばらだらけの道の痕跡を辿るが、やがて消滅する。木を伝って稜線に出る。尾根を辿ると本峰に至る。途中、本峰と南東峰の間の沢に下る新しい道が分かれる。これを下り、沢道を右に行くと小さな沼があり、水神坐沼社の立て札がある。やがて道が切れ、左に登る道があったらしいが痕跡も発見できなかった。沢を登り切ると本峰と南東峰の間の立て札の所に出る。沢の道を下り、伐採中の林のある沢の細道を強引に下ると巻向川に出るが、川が渡れない。コンクリートの護 岸が壊れ川を塞いだ所で渡川する(7)。いずれもハ ードな山道だが、いろいろな発見もあり楽しかった。 沢登りの好きな方は挑戦して欲しい。

巻向山
初瀬谷からの巻向山南東峰

巻向山
JR巻向駅付近からの巻向山

巻向山
井寺池からの巻向山

出典:万葉通信 たまづさ vol.9(ウォーク万葉たまづさ会発行:H14.1.25)文・馬場 吉久


■ウォーク万葉へのリンク■
53号 万葉の源流「巻向山」コース

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