掲載日:2009年12月11日
特集:ダイバーシティ経営が日本を強くする。佐々木 かをり×池上 彰
既存のビジネスの価値観だけでは成長に限界が見えてきた日本の企業社会。多様な視点を採り入れることが本当に強くなるための道。
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ダイバーシティが経済を活性化させ人々を幸せにする
- 池上
- これまでのお話を聞いていると、企業が女性の顧客をキャッチしたいと思ったら、男性ばかりで悩んでいてもダメだということですね。その1つの解決策が、女性を経営陣に入れることではないでしょうか。
- 佐々木
- そうですね。意思決定のプロセスに女性を参加させることはとても大切だと思います。
- 池上
- そして、佐々木さんのような女性経営者もどんどん増えてほしいのですが、日本ではまだ少ないですよね。どうしたら増えていくと思われますか?
- 佐々木
- 私は1990年代初めに米国によく訪れていたのですが、1991年に「2000年に中小企業の経営者の半分が女性になる」という予想が発表されました。当時の銀行は、女性経営者に対する融資には消極的だったのですが、この発表で状況は一変しました。
- 実際、翌年の1992年に米国に行ったら、女性起業家が集まる会議のスポンサーに銀行が名を連ね、ブースを出して「金利も安くするし、事業計画書も無料でつくるので、ぜひうちの銀行でお金を借りてください」とアピールしていました。私はそれを見て、これを日本にもち込みたいと思いました。つまり、社会運動ではなく、経済を活性化するために、女性の経済価値がどれだけ高いかを訴えていくべきだと考えたのです。
- 池上
- 女性の権利獲得のための社会運動ではなく、経済活動を通じてダイバーシティを進めていくと、結果的に女性の地位や権利が向上するということですね。
- 佐々木
- はい。これは女性に限ったことではありません。私が以前ダイバーシティのアドバイザリーに入っていたメリルリンチをはじめグローバル企業では、多様性の取り組みのなかで「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)」という、いわゆるセクシャルマイノリティーの属性があって、担当役員もいました。これも決して社会運動ではなく、顧客にLGBTの人がいるのだから、経営判断や商品開発にあたって同じ属性の人がいた方がいいだろうという判断なのです。
- こうしたグローバル企業は、すでに「ダイバーシティ」を超えた「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包含)」を掲げ、商品開発から広告表現まで、さまざまな事柄の決定プロセスに「どこまで多様な視点を含むことができるか」を考えています。
- 池上
- そうした意思決定にいろいろな価値観をもつ人たちがかかわることは、個々の企業だけでなく社会も変えていくように思います。
- 佐々木
- 同感です。私がめざしているのは、日本という国をもっと多様な人が参加できるようにすることです。従来の価値観だけでできあがっていたメディアや経済、政治に、女性をはじめとするさまざまな視点を加えていくことで、経済が活性化し、株価が上がり、皆がハッピーになる。その時こそ、日本は本当に強くなれると確信しています。
佐々木 かをり×池上 彰 対談からの5つの提言
- 今回の不況は、多様な人たちの視点を経営に採り入れるチャンスと認識せよ。
- 画一的な価値観で決定された戦略は支持されない時代になっていると意識すべし。
- 今後、企業が重視すべき対象はフルタイムで働く女性やお母さんである。
- スマートコンシューマが活用するWebや双方向コミュニケーションのあり方を見直すべし。
- 経営上の決定プロセスにどれだけ多くの視点を入れられるかを考慮すべし。
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