

- 福島
- 日本経済が長期間低迷し、地方を取り巻く状況は厳しさを増しているようです。松崎市長は地方経済の現状をどのように捉えていらっしゃいますか。
- 松崎
- 一言で表すと、厳しいといわざるを得ません。そもそも人・モノ・金は東京などの大都市に集中しがちです。最近は円高の影響もあり、地方の製造業までが海外へシフトしてしまい、地方経済や雇用に悪影響を与えています。加えて、農林水産業も低迷気味です。
- 福島
- 地方では少子高齢化や人口の減少といった問題も深刻化していますよね。
- 松崎
- とくに、私が市長を務める小浜市は著しい高齢化が進んでいます。それでも私たちは知恵を絞りながら、発展に尽力していかなければなりません。
- 福島
- 小浜市のまちおこしについて教えていただけますか。
- 松崎
- 継続的に注力しているのが「食のまちづくり」です。小浜市は若狭湾に面した天然の良港であり、鯖に代表される海産物が豊富に獲れます。それらは飛鳥・奈良時代から、「鯖街道」を通って奈良や京都の朝廷へ献上されてきました。こうした歴史を踏まえて、2000年から「食」を市の重要な施策として据えるとともに、翌年には全国で初めての「食のまちづくり条例」を制定しました。
- そのなかでも重要な分野と位置づけているのが「食育」です。赤ちゃんからお年寄りに至るまで、人は生涯を通じて食に育まれる――「生涯食育」という言葉は小浜市が提唱したのですよ。
- 福島
- 具体的にはどのような活動があるのですか。
- 松崎
- 4〜7歳の子ども向けのプログラム「キッズ・キッチン」を開催しています。子どもたちが楽しみながら料理を学ぶことで、食に対する興味を醸成するとともに、安全な食や健康の大切さを感じてもらいたいと考えています。
- 福島
- 私も、鯖を材料とした「へしこ」など小浜名物をいくつかいただいて、食の豊かさを堪能しました。小浜市は食とともに、文化面でも長い歴史をもっていますね。
- 松崎
- はい。大陸に近い場所に位置しているため、かつては大陸文化の玄関口となり日本で最先端の文化を誇っていました。また、仏教の伝来ルートでもあったことから、人口3万2,000人ほどのまちに130もの寺院があり、なかには国宝や重要文化財に指定されているものもあります。
- 福島
- このような食や文化を軸とする小浜市の魅力を全国に発信するため、2010年に第三セクターとして「株式会社まちづくり小浜 おばま観光局」を設立されたのですね。
- 松崎
- 「おばま観光局」は、行政だけでなく地域住民や民間企業も含めた多種多様な主体の参画による観光振興をめざす組織です。魅力あるまちづくりのためには、多くの人々の知恵を集めて地元にある資源を最大限活用していくことが必要です。ぜひおばま観光局にはその一端を担ってほしいですね。
- 例えば最近、海上釣り堀の「ブルーパーク阿納(あの)」で観光客の方が鯛や平目などを釣り、民宿のお母さんに教えてもらいながら自分でさばいて食べる体験交流型の観光メニューを企画したのですが、かなり好評でした。
- 福島
- まさに、地域住民を巻き込んだまちおこしの好例ですね。以前、全国的に話題となったオバマ米大統領の応援も市民発なのでしょうか。
- 松崎
- はい、ある一人の市民が提唱して広まった運動です。大統領ご本人から手紙をいただくなど大いに盛り上がり、小浜市の知名度も一気に向上しました。



