掲載日:2005年7月8日

ユーザー事例

ハートウェル

業界初、福祉用具のレンタル流通を無線ICタグで管理
―顧客サービスの向上、プロセス全体の効率化を目指す

キーワード

  • 無線ICタグの実用化
  • レンタル流通全体を管理
  • リアルタイムな個品単位の管理

課題と目的

  • 顧客サービスの向上
  • 在庫適正化と安定供給
  • 運営・管理負荷の軽減

効果

  • サービス品質の向上
  • 物流の効率化
  • 市場ニーズへの迅速な対応

車いすや在宅ケアベッドなど福祉用具のレンタル・販売を全国規模で展開するハートウェルでは、今年3月、無線ICタグを活用してレンタル用具の流通、循環を個品単位で運営・管理するシステム「One's Heart(ワンズ・ハート)」を構築、運用を開始した。

車いすのメンテナンス風景
車いすが「今どこにあり」
「何を修理するか」ICタグで管理する

このシステムは同社と物流サービスを担うセンコー社、そして日本ユニシスの3社が共同開発したもの。福祉用具レンタル業界初の画期的なシステムであるのはもちろん、無線ICタグの実用化という面でも先進の事例として注目されている。

One's Heartシステムの導入を主導した同社業務本部の姫野信吉課長と松坂明恵さんにお話をうかがった。

松坂 明恵氏写真

株式会社ハートウェル
業務本部品質課 課長
姫野 信吉氏

松坂 明恵氏写真

株式会社ハートウェル
業務本部企画課
松坂 明恵氏

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顧客サービスの向上を目指して

ハートウェルは、現在、全国に営業拠点29店舗を展開し、さまざまな福祉用具のレンタルや販売などのサービスを提供している。このうち、レンタルサービスについては、各地の店舗が窓口になって利用者宅への配達、回収を行い、店舗で回収した用具はメンテナンスセンター(関東エリアでは千葉市の「千葉ハーティポート」)に配送する。メンテナンスセンターでは用具の消毒、洗浄、修理などを行い、再び各地の店舗に配送し利用客に提供するという循環サイクルになっている(下図参照)。

こうしたレンタル用具の管理については、これまで手作業で行われていた。たとえば、メンテナンスセンターでも各店舗でも、用具の入荷、出荷の際にはリストと突き合わせて1つ1つ検品していた。メンテナンスセンターに集まる用具は、毎日カゴ車(カゴ型運搬台車)で30台から50台にも及んでおり、入出荷の検品には手間も時間もかかった。

また、利用申込に対して迅速かつ効率的に出荷、提供するためには、単にメンテナンスセンターや各店舗の在庫というだけでなく、メンテナンスや配送といった工程のどこにあるのかも含めて的確に把握する必要があった。

それ以上に大きな問題はレンタル用具の品質の確保だと、同社業務本部品質課の姫野信吉課長は語る。「福祉用具という性質上、安全で安心して使用していただけることが大前提になる。1つ1つの用具をさらに厳密に管理しチェックすることで、より品質を高め、安心して使ってもらえるような仕組みを確立したいと考えた」。

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最新のICタグ技術を利用したシステムを共同開発

同社では、こうした視点からレンタル用具の管理の仕組みについて検討を進めた。その際に、同社の物流を担っているセンコー社から無線ICタグを利用した新しい管理システムの提案を受けた。ICタグの技術を利用することで、個品単位での集中管理が容易に実現でき、運営・管理を効率化することが可能になる。

同社はこの提案を具体化するために、センコー社とともに無線ICタグの技術やノウハウを有するパートナーの選定にかかり、日本ユニシスを選んだ。姫野課長はその理由について「日本ユニシスはICタグを利用したシステムの構築において、さまざまな実証実験にも参画して実績がある。また、その提案力も評価してシステム開発のパートナーを依頼した」と語っている。

新システムは、同社とセンコー、日本ユニシスの3社による共同開発という形でスタートした。センコーが在庫管理シスムの開発、日本ユニシスがICタグ適用のコンサルティングと入出荷システムの開発をそれぞれ担当し、ハートウェルがシステムの開発プロジェクトを統括するという役割を担った。システム開発に着手したのは昨年8月、3社の緊密な連携によって進められ、今年3月28日から実運用を開始している。

ICタグで個品単位の管理を実現する仕組み

「車いす」につけられた
ICタグ(丸)

「在宅ケアベッド」につけられた
ICタグ(丸)

新システム「One's Heart」は、車いすや在宅ケアベッドなどのレンタル用具1つ1つに無線ICタグを貼り付け、用具を個品管理するシステムだ。用具を構成する部品(ユニット)にICタグやバーコードを貼り付けて、部品単位で管理している。

メンテナンスの工程では、分解して消毒、洗浄、修理する各作業の前にICタグを読み込み、作業の履歴を書き込む。とくに修理の工程では故障箇所や修理内容などの情報も書き込む。また、メンテナンスを完了し再び組み立てるセット組の工程では、完成品と構成部品のデータを読んで、正しく組み立てられているかをチェックする。あるいは部品を交換することで別の規格のベッド商品を組み立てる場合にも、同様に完成品が正しい部品で構成されているかなどを検査する。

リーダーライターに読み込んだ個品情報を、
カゴ車にとりつけたICタグに書き込む。
カゴ車単位の管理が可能に

また、用具を積み込むカゴ車にもICタグを貼り付けている。メンテナンスセンターから各店舗へ出荷するとき、カゴ車に積んだ個々の用具のデータをカゴ車のICタグに書き込む(用具のICタグとカゴ車のICタグの関連づけ)。

カゴ車が出荷ゲートを通過すると、
黄色のポールの上に設置されたセンサーが
ICタグの情報を瞬時に読み取り、
出荷・積込検品が完了する
(丸がカゴ車にとりつけられたICタグ)

集配担当者からは、作業が楽になったと好評価

また、送付先店舗のデータも書き込む。これにより、メンテナンスセンターの出荷ゲートをカゴ車が通過すると、出荷・積込検品が完了する。

店舗側でも同様に、カゴ車に積んだ用具のICタグとカゴ車のICタグのデータを関連づけてメンテナンスセンターに送る。メンテナンスセンターではカゴ車のICタグを読むだけで入荷検品が完了するという仕組みだ。

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高品質のサービスを安定して提供する体制を確立

無線ICタグを活用した新システムにより、利用者から店舗、メンテナンスセンターに至る流通プロセス全体にわたって、リアルタイムにレンタル用具の流通・履歴情報を管理することが可能になる。

とくに、用具の製品としての年齢(レンタル年齢、レンタル回数)、メンテナンスの履歴に応じて明確な廃棄の基準に沿うことが可能になり、ユニット単位で故障の多寡、その理由など、個品ごとの“クセ”ともいうべき情報までも把握も可能だ。これらにより、レンタル用具の品質レベルの維持・向上が実現できる。

また、個品単位で在庫ステータス(配送中、消毒中、修理済み等々)に応じたリアルタイム管理で、在庫の適正化を図り、新規用具の投入といったロスも抑制しながら、サービスの安定した提供を実現する。

同社業務本部企画課の松坂明恵氏は、「利用客の間で関心の高いレンタル用具の品質を個品レベルで維持できるので、安心して利用してもらえる。また、在庫を細かく把握できるので、迅速かつ安定的に用具の提供ができる」と語っている。

さらにメンテナンスセンターや店舗における入出荷時の検品作業をはじめとして運営・管理の負荷を大幅に軽減、レンタル循環プロセスの効率化・迅速化も可能になる。「まだ、スタートして間もないこともあり、すべての用具をICタグやバーコードで管理できていないが、これが行き渡れば各店舗でも受発注から入出荷まで、作業に要する手間や時間を大幅に低減できる」(松坂氏)と期待している。

効果を確認しながら全国展開も視野に

新システムは、現在、千葉ハーティポートと関東圏の10の営業拠点で先行して導入され、流通業務の担当者からも「作業が楽になった」と好評を得ている。同社のメンテナンスセンターとして「千葉ハーティポート」に続いて、九州に「鳥栖ハーティポート」が今年2月にオープンしたこともあり、新システムの効果を確認しながら、全国的な展開も検討していきたいとしている。

また、ICタグの活用で利用履歴をはじめ、さまざまなデータが蓄積されることから、これを分析することで市場ニーズを把握し、新しい商品やサービスの開発にも結びつけていく予定だ。

姫野課長は、「ICタグ技術を利用した先進システムを最大限に活用し、サービスの品質やスピード、きめ細かさなどで競合他社との差別化を図り、競争力を強化していく」と語っている。

なお、新システムは規制緩和で利用が可能になったUHF帯のICタグへの対応もスムーズに進められるように開発設計されており、今後、さらに幅広い活用も視野に入れている。

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※本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

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