2015年3月20日掲載

ユーザー事例

弘前大学 様 北東北の高度医療を担う中核病院としてICTを活用した業務効率の向上と地域医療連携基盤の構築を推進。

大学病院としての研究活動を支援する「院内EHRシステム」を構築

院内の写真

電子カルテシステムとは別に、弘前大学病院様では数年前から新たなシステムの構築に向けたもう1つのプロジェクトが進行していました。「院内EHR」と呼ばれるこのシステムは、医事会計システムに蓄積されている診療報酬請求(レセプト)情報をベースに、検査データや画像情報、院内処方などの付随データを紐付けることで、一患者のあらゆる診療情報を時系列参照できる一元的なデータベースです。

「膨大なレセプトデータに加えて、さまざまなオーダリングデータ、さらには電子カルテデータもこのシステムに入れていくことで、当院における症例対象研究の基盤を提供することがEHRシステム構築の大きなねらいでした」と佐々木氏は語ります。

この背景には「青森県全体の医療課題の解決に貢献する」という、大学病院としての使命感がありました。実は、青森県は長年にわたって男女ともに「平均寿命が全国最下位」となっています。飲酒量の多さ、喫煙率の高さ、塩分の摂りすぎ、運動不足などさまざまな要因が指摘されていますが、それらが相互にどう関係するのかなど本質的な要因は明確になっていません。「日本一の短命県返上」に向けて、10数年前から県をあげて広報活動や教育活動が継続的に進められていますが、目標達成には至っていないのが現状です。

佐々木氏は、この問題の解決には、まず「実態」を明らかにする分析が必要だと指摘します。

「例えば、『がんの死亡率が高い』といった場合に、罹患率が高いのか、受診時点でステージが進行しているケースが多いのかなどで実態は違ってきます。そうしたさまざまな症例や、診療データに基づいた詳細な臨床研究によって、県民の“短命”の原因を明らかにして、効果的な施策につなげることが重要なのです。それは私たち大学病院としての使命だと思っています」

こうして同院が構築を進めてきた院内EHRシステムは、2015年2月に稼働を開始しました。今後、データの集積と解析機能の充実により、研究活動に大きく貢献するものになると佐々木氏は期待します。

「症例研究は通常、過去のカルテのなかから研究に必要な多数の症例を選び出す症例集めから始めますが、これには多くの時間と労力がかかります。しかし院内EHRを使えば、ある疾患について、過去の症例を100なら100、すぐに集めることが可能です。レセプトデータと同時にそれと関連した検査や画像診断の情報なども検索できますし、複数の診療科を受診した患者さんの履歴を時系列で追うことも容易になるでしょう」

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