掲載日:2005年4月4日

ユーザー事例

近鉄情報システム

インターネット予約・発売システムを刷新
―UNIXからLinuxへ移行し、コスト節減などを実現

キーワード

  • UNIXからLinuxへマイグレーション
  • ノンストップ・サービス
  • TCO削減

課題と目的

  • 利用者増加への対応
  • 安定したサービス提供
  • 業務効率化の一層の推進

効果

  • 可用性・安定性の向上
  • 運用管理の負担軽減
  • システム・コストの節減

私鉄トップの営業路線網を擁する近鉄(近畿日本鉄道)をシステム面で支える近鉄情報システムでは、近鉄特急のインターネット予約・発売システムを刷新し、2004年12月15日から運用を開始した。

このシステム更改では、UNIXベースからLinuxベースのシステムへと一新するとともに、ネットワーク機器等も含めて全面的に二重化構成を採用するなど、システム基盤の大幅な強化を図り、急増する利用者への安定したサービスの提供や、システム運用管理の負荷軽減、ITコストの節減などを実現している。日本ユニシスがシステム・パートナーとして支援した。

今回の更改で中心的な役割を担った同社開発部リーダー山口茂氏および運営部 リーダー上種義之氏にお話をうかがった。

山口 茂氏写真

近鉄情報システム株式会社
開発部リーダー
山口 茂氏

上種 義之氏写真

近鉄情報システム株式会社
運営部リーダー
上種 義之氏

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インターネット利用者の急増でシステムが限界に

近鉄では、インターネットを利用した特急券の予約・発売サービスを、すでに2001年3月から提供している。翌2002年にはポイントサービスを追加、さらに2003年3月には特急券を発券することなく、携帯電話だけで特急を利用できるチケットレスサービスをスタートさせて、利用者の利便性向上を図るとともに、駅窓口業務の合理化も推し進めてきた。

毎年のように新しいサービスを追加しながら、これを支えるシステムの基本的な構成は変更せずに、サービス機能の開発、拡充によって運用してきた。しかし、とくにチケットレスサービスの開始以降、利用件数は激増、インターネット経由の特急券の発売件数はそれ以前の3倍に増加するなど、システムにかかる負荷も増大した。そして、たとえば台風や集中豪雨などの際には同社のホームページにアクセスが集中して、システム全体にかかる負荷が大きくなり、予約・発売サービスも影響を受けるようになった。さらに、サービス機能の拡張などによって運用管理に要する手間や時間も増大していたという。

同社では、こうした課題を解決して安定したサービスを提供するため、またインターネット利用の一層の拡大により現場業務のさらなる効率化を推進するため、システムの更新に着手した。

携帯電話で予約可能。携帯の画面がチケットにもなる

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コスト節減と運用管理の負荷軽減のため、UNIXからLinuxへ移行

従来のシステムは、WebサーバにUNIX(UNIX+WebLogic)機2台をホットスタンバイ構成で利用、またD/Bサーバは同じくUNIX(UNIX+Oracle)機を利用していた。ホストコンピュータはUnisysマシンで、座席管理などを行っている。

システム更新の目的は、まず今後の利用者増加にも対応できる安定性・可用性の高いシステムの確立にあり、具体的にはサーバとネットワーク機器を性能の高いものに入れ替える、またこれまでWebサーバのみで行っていた二重化構成をネットワーク機器も含めて全面的に採用することにした。

こうした方針で検討を進め、プラットフォームをこれまでのUNIXからLinuxへと移行することを決めた。理由の1つはコストメリットにある。同社・運営部リーダーの上種義之氏は「二重化され、処理能力が高いサーバシステムを、コストを抑えて構築することが課題であった。米SPEC社が公表するデータをもとにサーバ構成を比較検討し、性能テストも実施した。その結果、UNIXサーバで組んだ場合より、高性能なサーバシステムを安価に構築できた」と語る。

もう1つは、運用管理のシンプル化である。同社では従来からUNIX、LinuxやWindowsまでさまざまなプラットフォームのシステムを運用している。「OSの種類に応じた知識やスキル、教育も必要で、運用管理のための負荷は増える。そうした負荷の低減を図るため、 LinuxとWindowsに集約していく方向で考えている」(上種リーダー)という。

同社ではすでにLinuxによるWebサーバなどの構築、運用実績があり、ノウハウを蓄積しているので、UNIXからLinuxへの移行に不安もなかった。

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運用保守サポートを考慮して日本ユニシスに構築支援を一本化

今回のシステム更新に当たって、システム・インテグレーションを含めて日本ユニシスに構築パートナーを一本化している。従来、サーバやネットワーク機器を他のベンダーから調達していたが、「UNISYSホストとのスムーズな連携が必須だったことはもちろん、トラブル発生時の迅速な対応などサポートでは実績があり、窓口を一本化する意味で全面的にユニシスに依頼することにした」(同社 開発部リーダー 山口茂氏)という。

実際に開発に着手したのは、2004年7月。SolarisからRed Hat Enterprise Linuxへのプラットフォームの移行はスムーズに進んだ。山口リーダーは「UNIXシステムで使用されているシェルスクリプトは、Linuxシステムでも改修せずにそのまま適用できたので、とくに手間がかからなかった」と語っている。その一方で、WebLogic、OracleやJavaのバージョンアップに伴う非互換対応、アプリケーションの移行には予想以上に手間と時間がかかったという。

また、Linuxへの移行でとくに留意した点については、

ことなどを挙げている。

同社では、実践に即した負荷テストを繰り返し、期待通りのスループットが出ることを確認して、12月15日から新システムの運用をスタートした。

近鉄特急チケットレスサービスきる

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全面的な二重化構成で可用性・安定性を向上

新システムはサーバ機、ネットワーク機器を含めて高性能な機器に一新、さらに全面的な二重化によるクラスタ構成を採用、可用性・安定性は大幅に向上している。同時に運用監視の一元化を図るとともに、ソフトウェアのバージョンアップを通じてアプリケーションの煩雑さを解消しており、管理するサーバの台数は増えたものの、運用管理の負荷は低減している。

「12月の運用開始後、システムトラブルも発生していない。非常に安定して稼働しており、処理スピードも早くなっている。運用管理面でもUNIXと Linuxでは大きな違いはないので、運用管理スタッフの技術習得にそれほどの時間は要らなかった」(上種リーダー)という。

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Linuxへの移行でコストを大幅に節減

Linuxへの移行によるメリットについて、同社では「UNIXサーバで同じシステムを構築する場合と比べると、ハードウェアのコストはおよそ3分の1ですんだ。ソフトウェアやサービスを含めた全体のコストでも、UNIXシステムの3分の2ほどに収まっている」(山口リーダー)。また、D/Bサーバの性能アップでOracleのライセンス費用の節減も期待できるという。

近鉄では、今回のシステム更新でシステム基盤が強化され、利用者増加にも十分に対応し安定したサービス提供の環境が整ったことから、今後はインターネット・サービスの拡充を図っていく。一例として、定期券の購入に必要な通学証明書をインターネットで申請するサービスをすでに始めている。こうしたサービスの拡充、利便性の向上によって、利用者のインターネット活用を促進し、駅窓口業務の合理化や利用者の利便性向上を推進する計画である。

また、今回のUNIXからLinuxへの移行効果をモデルケースとして、他のインターネット関連のサーバ機をLinuxベースで再構築する検討も進めていくとしている。

近鉄情報システム株式会社
http://www.kintetsu-is.co.jp/

日本ユニシスのLinuxサービス
http://www.unisys.co.jp/linux/

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※本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

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