掲載日:2005年3月4日

ユーザー事例

東京空港交通(リムジンバス)

.NET技術により「インターネット予約サービス」を短期構築
―柔軟なWebシステム基盤により、今後の拡張も容易に

キーワード

  • .NET技術による短期開発
  • 柔軟な拡張性に富むWebシステム基盤
  • 業界初自社システムによるインターネット予約サービス

課題と目的

  • 予約サービスの利便性向上
  • センター業務の負荷軽減
  • 販売機会喪失の回避

効果

  • 顧客サービスの向上
  • 顧客情報の収集・活用
  • 柔軟なWebシステム基盤の確立

オレンジカラーの「エアポート・リムジン」で親しまれている東京空港交通では、昨年12月の羽田空港第2旅客ターミナルのオープンに合わせて、パソコンや携帯電話から乗車予約ができる「インターネット予約サービス」を新たにスタートさせた。インターネットを利用した予約サービスは航空機や新幹線などではおなじみだが、路線バスで、しかも自社で独自に予約システムを構築したのは業界でも初めてで、先駆的なケースと言える。

システム構築にはMicrosoft .NETの技術を活用、日本ユニシスの支援を得て実質4カ月という短期間で構築してサービスを開始している。同社では、このシステムを利用者サービスの向上へのファースト・ステップと位置づけ、インターネットを利用したさらなるサービス展開を構想している。

同社の総務部 情報システム課長 鹿野道弘氏と営業本部 営業企画課長 山口孝弘氏にお話をうかがった。

鹿野 道弘氏写真

東京空港交通株式会社
総務部情報システム課
課長 鹿野 道弘氏

山口 孝弘氏写真

東京空港交通株式会社
営業本部営業企画部営業企画課
課長 山口 孝弘氏

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リムジンバス事前予約の利便性向上を目指して

空港や目的地にダイレクトに移動できる交通手段として親しまれているリムジンバスは、現在、成田空港、羽田空港、東京シティ・エアターミナルなどを起点に、首都圏の主要なターミナル駅やホテルの間を結んで、一日約1200便が運行されている。近年は水戸・日立、黒磯・宇都宮、前橋・熊谷などにもルートを拡張し、さらに利便性が高まっている。

リムジンバスの場合、高速道路を走行することなどから、全車座席定員制で立ち席はない。このため、同社では事前予約システムを採用している。予約は基本的には1カ月前から乗車前日までの間に、リムジンバス予約センターに電話すれば簡単にできる(羽田、成田両空港発のリムジンバスは原則的に予約不要)。このほか、ホテルや旅行代理店経由で予約することも可能だ。当日乗り場で乗車券を購入することもできるが、満席のときには乗車できなくなってしまう。予約していれば確実だ。

インターネットや携帯電話の普及に伴って、利用者からそれらを利用したサービスの要望も増えたという。「当社のホームページなどで『Web予約ができれば便利なのに』というお客様のご要望も数多く寄せられるようになった」と、同社の鹿野道弘システム課長は語る。

予約センターの電話受付は通常9時〜19時となっており、深夜など時間外は予約ができない。「会社から帰宅して予約しようとしてもできないといった不便があり、それによって他の交通手段の利用に流れてしまうという面もあった」(鹿野システム課長)。

インターネット予約のシステム化については、こうした予約の利便性を高めサービスの向上を図ること、販売機会の喪失を防ぐことに加えて、予約チャネルを増やすことで予約センターの業務負荷を軽減することなどの目的があった。

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第一フェーズとしてインターネット予約のシステム化に着手

同社システム課では、利用者からの要望が増える以前からインターネットを利用した予約システムについて検討を始めていた。その中で課題となったのは、いたずら予約の防止や情報セキュリティの確保など、予想されるリスクをどう担保するかだった。また、基本的な方向として、予約だけでなく発券・決済まで含めたシステムを構築することを想定していた。今回、そうした長期的なプランを視野に入れながら、「まず第一フェーズとして予約の部分から取り組むことにした」(鹿野システム課長)という。

今回のシステム構築でポイントになったのは、そうした将来のステップを視野に置いた、変更や拡張で自由度が高いWebシステムを採用したいということ、同時に実際的な開発の期間やコストの問題もあった。昨年12月に羽田空港がリニューアルし第二ターミナルがオープンする予定で、それに合わせてインターネット予約サービスをスタートさせること、開発コスト面でも大きな投資は避けることが要件になった。

同社では、日本ユニシスにシステムの提案を依頼した。日本ユニシスを選択した理由について鹿野システム課長は、「既存の予約システム(CRS= Computer Reservation System)をUnisysホストで構築、運用していたこと、その予約システムとの連携がキーポイントになるので、日本ユニシスに依頼すれば万一のトラブルが発生してもワンストップで迅速に対応してもらえること、さらに、日本ユニシスがWebと連携するシステムの構築ですでに数多くの実績があり、知識やノウハウを持っていることを評価した」と語っている。

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.NET技術が可能にする短期間・低コストのシステム開発

同社の依頼を受け、短期構築をはじめさまざまな要件を検討した結果、日本ユニシスはMicrosoft .NETをベースにしたインターネット予約システムを提案した。.NET技術を利用することで、予約システムとWebシステムとのスムーズな連携が可能となるのはもちろん、.NETによるシステム基盤を構築することで将来にわたるシステムの変更や拡張の要請にも柔軟に対応できる。さらに、そうしたシステムの開発に要する時間を短縮しコストを節約しながら実現できるからだ。

鹿野システム課長は.NETの採用について「.NETなら短期間で開発ができ、12月のサービス開始が可能だということ、また、稼働後の変更要請にも柔軟に対応ができること、そしてコスト的にもそれほど大きな負担をしなくてすむことから、これを利用することに決めた」と語る。

実際にインターネット予約システムの開発がスタートしたのは昨年8月。テストを含めて4カ月(開発は実質3カ月)という短期間で構築し、12月には予定通りにサービスを開始している。路線バスのインターネット予約サービスは、システムの共同利用で提供している例はあるものの、今回のように自社で独自にシステムを構築しサービスを提供するのは業界でも初めてのケースになる。

図:システム構成図 (クリックで拡大)

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セキュリティ確保に留意したインターネット予約システム

システムはPCに対応するWeb版、携帯電話に対応するMobile Web版から共通に利用できる構成になっている。機能的には予約や予約状況確認などを行う予約コンポーネントと、顧客情報登録や確認などを行う顧客情報管理コンポーネントの2つで構成される。既存の予約システムのホストとはゲートウェイ機能でダイレクトに連携する仕組みだ。

いたずら予約などのリスクを回避するために会員登録の仕組みを採用している。利用者に最初に会員登録と認証の手続きをしてもらい、IDとパスワードでアクセスをチェックしている。また、システムは専門のデータセンターにホスティングしており、セキュリティ確保には慎重な対策を講じている。

インターネット予約サービスは、現在、利用客の多い東京駅→成田空港、新宿駅→成田空港などの6路線で提供されている。利用時間は6時〜24時まで。ホスト側のバッチ処理などがあるため零時から6時まではサービスが停止する。利用者はパソコンや携帯電話を使って簡単に事前予約ができる。最初に会員登録をすませると、次回からはIDとパスワードを入力してログインし、乗車区間や時間帯などで目当てのリムジンを検索して予約する仕組みだ。

Web予約画面

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.NETによるWebシステム基盤を利用し、さらなるサービスの拡張を

インターネット予約サービスがスタートしてからまだ2カ月ほどだが、その利用者はすでに1日30〜40件に及んでいるという。同社の山口孝弘営業企画課長は、「6路線という限られた範囲でのサービス提供であり、また、とくにこのサービスをホームページ以外でPR しているわけでもないが、利用者は確実に増えている」と語る。利用者がインターネット予約すれば、その分、電話予約センターにかかる業務負荷は低減できる。また、これまでの予約できる時間帯を6時〜24時に拡大したことで、集客増も期待できる。

もう1つの効果として、顧客情報の分析、活用も挙げられる。「会員登録したお客様のプロフィールとその利用頻度や傾向を把握することで、どのようなお客様がどの路線を利用するのかといった、これまで把握できなかったことが見えてくる。そのデータを今後の戦略立案に反映してさらに利便性を高めるために利用したり、あるいはマーケティングに活用することもできる」(鹿野システム課長)。

同社では、今後、このインターネット予約サービスを現在の6路線からさらに多くの路線でも提供すること、また、予約を受け付ける旅行代理店からも利用できたり、個人だけでなく法人の顧客が利用できるように機能を追加することを検討している。

「今回のシステムを最大限に活用して、営業拡大に結びつけられるように、現在さまざまな検討を進めている。新しいサービス提供のためにシステム変更の要請もしていく」と、山口営業企画課長は語っている。

またシステム面での今後の展開について、鹿野システム課長は「誰にでも簡単に使えるシステムは理想だが、現実問題として高齢のお客様に携帯電話で予約してくださいとは言えない。どのシステムをどういったお客様が利用するのか、どうすればさらに利便性が向上するのか、そういう視点に立ってシステムを作っていきたい」と語る。

同社では、次のステップとしての予約から発券、決済までのWebシステム化を視野に入れつつ、さらなる顧客サービスの向上を目指してインターネット予約システムの拡張を検討している。

*東京都中央区日本橋箱崎町22-1
*饗場義晃代表取締役社長

東京空港交通株式会社
http://www.limousinebus.co.jp/

日本ユニシスの.NETソリューション
http://www.unisys.co.jp/dotnet/

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※本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

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