2010年1月29日掲載

ユーザー事例

ライオン株式会社 様

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環境性能とデザイン性に優れた商品づくりをめざしてCAEシステムの強化を決定

ライオン株式会社様は、全社的な環境保全活動「ECO LION」の実績を評価され、2008年6月には環境大臣から製造業として初めて「エコ・ファースト企業」に認定された環境対応先進企業です。「ECO LION」の活動範囲は、研究開発から製造、流通、販売、家庭での使用に至るまでの広範な分野にわたりますが、なかでも重要な取り組みの1つが、洗剤やシャンプーなどの容器の省資源化・リユース(再利用)・リサイクル(再資源化)の促進といった製品容器の環境対応です。

とくに、日用品の包装については、メーカー側が容器包装の使用量に応じてリサイクル委託料を負担する「容器包装リサイクル法」が適用されており、環境負荷削減の観点に加えて、事業コスト削減という観点からも容器の軽量化が必要です。

ただし、同社の包装技術研究所で主任研究員を務める中川敦仁氏は、「単純に容器の肉厚を削ればいいわけではない」と指摘します。

「包装容器の重要な役割の1つは、液体洗剤などの内容物を無事にお客様のもとにお届けすることにあります。製品は流通段階で段ボールに詰められ、高く積みあげられることもあるので、包装容器にはそうした場合の荷重に耐えられる強度が求められます。ところが材料を減らして容器の肉厚を薄くすると、どうしても強度が低下します。そこで薄さと強度の最適なバランスを追求することが重要なポイントになります」

早くから容器の軽量化を推進してきた同社が、今後、さらなる省資源化を追求するためには、容器の肉厚を限界まで削りながら、素材や形状、構造の工夫などで必要な強度を確保しなければなりません。この設計過程において欠かせないのが、落下衝撃や輸送時の挙動などに関する解析作業です。これらのシミュレーションはCAEと呼ばれるコンピュータシステム上で行われます。ところが従来の同社のCAEシステムは、限られた開発期間内に膨大なパラメータについて詳細に解析するだけの処理能力を備えていませんでした。

中川 敦仁氏の写真

さらに、包装容器に求められる要素は、環境性能と強度だけではありません。市場での差別化を図るためにも、お客様に好まれるデザインと機能的で扱いやすい形状を実現することも重要です。こうした多くの要素を満たす容器を開発するためには、複数のデザイン案をもとに設計・開発を進め、最終段階でデザイン選定する方法が有効だと中川氏は語ります。

「初期段階でデザイン案を1つに絞ると、詳細設計でシミュレーションと修正を繰り返すうちに、どうしても最初のデザイン案と形状が変わってきてしまいます。これに対して、複数のデザイン案の詳細設計を並行して進めることができれば、落下や強度のシミュレーションをクリアした候補の中から最終デザインを決めることができますから、マーケットの要望に近い容器を商品化できるわけです。しかし、既存のCAEシステムでは、1つのデザイン案のシミュレーションに長時間かかってしまうので、その方法を採用することはできませんでした」

理想的な容器開発を実現するうえで“足かせ”となっていたこれらの課題を解決するために、同社は、2008年にCAEシステムの抜本的な刷新を決定。従来の4倍のシミュレーション速度の実現を目標に、開発計画がスタートしました。

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