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ICT利活用による社会基盤の変化

ICTが急速に進化していくことで、クラウドファーストやモバイルファーストが浸透していく。これにより、いつでも、どこでも、だれでもICTを利活用することが可能になり、より成熟した、人と環境にやさしく活力のある社会が実現されていく。かつて、ユビキタス社会と呼ばれていた社会がICTの進化によって現実のものになっていく。

図1 社会基盤
図1 社会基盤

背景と現在の状況

日本は、エネルギーシフトや超少子高齢化、災害対策・BCPなど、さまざまな課題を抱えている。これらを乗り越えるために、より成熟した、人と環境にやさしく活力のある社会の実現に向け、社会基盤を支えるICTについて様々な実証実験が行われている。その一部が実用化・商用化段階まで進み、現場での活用が広がり始めている。

例えば、スマートシティの国際会議・展示会の「Smart City Week 2012」は「リアルビジネスの胎動」と題して開催され、神奈川県による「かながわスマートエネルギー構想」などの取り組みが発表された。

3〜5年後の姿

ICTの進化により、クラウドファーストやモバイルファーストが浸透していく。これにより、いつでも、どこでも、だれでもICTを利活用することが可能になり、社会基盤におけるさまざまな課題が解決に向かっていく。社会基盤を支えるICTは個々のシステムが単独で機能するのではなく、クラウドとネットワークを介して連携して、種々の状況に応じてコントロールできる柔軟なインフラとなっていく。

オフィス・住宅

オフィス・住宅では、ICTの利活用による、スマートオフィス・スマートハウスでの監視・制御・管理が進化していく。

例えば、オフィスでは、クラウドファーストとモバイルファーストの浸透や移動体通信の高速化により、物理的な場所を共有する必要が少なくなり、バーチャルオフィス上で場所や時間に関係なく仕事や打ち合わせが広く行われるようになっていく。住宅では、家電や空調・発電・蓄電設備などが相互に接続してクラウド上のシステムにより最適に制御され、スマートフォンで自宅の家電などの操作が可能になっている住宅が増加していく。

スマートメーターの普及率が8割を超え、電力消費の見える化や柔軟な電気料金メニューの実現が拡大していく。BEMS*1やHEMS*2は個々のビルや住宅の監視と制御から、排煙や消火などの防災制御、防犯監視、複数のビル群の一括監視など機能を拡大していく。

*1 BEMS:Building and Energy Management Systemはビルにおけるエネルギー管理を行うことで、エネルギー消費量の削減を図るシステムである
*2 HEMS:Home Energy Management systemは住宅におけるエネルギー管理を行うことで、エネルギー消費量の削減を図るシステムである

環境・エネルギー

環境・エネルギーでは、低炭素社会の実現に向けて、EV(Electric Vehicle)/再生可能エネルギーなどの取り組みが加速していく。

例えば、ガソリンスタンドや公共施設、駐車場に充電スタンドが設置され、充電スタンドの利用者認証、課金、充電スタンドの位置情報や空き情報はクラウド上で管理が行われる。ユーザがスマートフォンを介してクラウド上で管理されている情報を容易に入手できるシステムが全国で実用化されていく。利便性が高まることで、EVやPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)が大幅に増え、化石燃料の抑制が進んでいく。

一部のデータセンターでは、太陽光発電装置や風力発電装置などと燃料電池により再生可能エネルギーのみで運用が可能になるなど、エネルギー効率が更に向上していく。

交通・物流

交通・物流では、より効率的な交通・物流処理の実施、事故防止や燃費向上を図るシステムが実現されていく。

例えば、過疎地域のバスの代替となる乗り合いタクシーの運用がICTの利活用により利便性が高まるため全国に拡大していく。モバイル端末の事前登録情報やGPS情報により、誰が・どこからといった情報の入力が不要になり、クラウド上の配車システムにより最適化されたコース設定が車両に通知されることが可能になっていく。

道路・橋梁・トンネル等の施設では、センサーによる監視と収集した大量のデータによるシミュレーションを行うことで、事故の未然防止や災害時の被害状況把握がリアルタイムに行われる施設が増加していく。

医療

医療では、各種センサーと通信の高速化により、いつでも、どこでも、だれでも医療サービスを受けることが可能になっていく。

例えば、高画質カメラと通信の高速化により顔や体の状態の診察や会話が行え、センサーによる心拍・呼吸・体温・血圧などの計測が可能になり、医師と看護師が病院にいながら、在宅患者の診察が拡大していく。

高齢者の介護においても、各種センサーと移動体通信により外出時も継続して計測することが可能になり、異常の早期発見と対処が可能な医療施設が増加していく。

住民・行政サービス

住民・行政サービスでは、マイナンバーや災害対応・教育・文化でのICTの利活用が加速していく。

例えば、「マイナンバー法案*3」の成立により、国民は納税や給付などのさまざまな場面で申請書等にマイナンバーを記入することで個人識別が容易になると共に、年金記録問題などが発生しない充実した公共サービスが漏れなく公平に受けることが可能になっていく。

災害対応ではICTの利活用により初動から応急期における情報共有が適切に行われることで、自治体による迅速で的確な住民サポートが実現され、避難指示などの情報提供や避難所の運営や物資の配布などが適切に行われていく。

教育・文化では、著作権保護を行いながら、電子書籍等のデジタルコンテンツをインターネット上で借りることができる電子図書館が整備され、24時間いつでもどこでも利用可能になる自治体が増加していく。

*3 マイナンバー法案:正式名称「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」

衣料・食料・生活

農業では、各種センサーやクラウドの利活用により、農業従事者への負担が軽減されていく。

例えば、農業において日照量や気温、土の水分量をセンサーで監視してクラウド上のシステムにより照明や暖房、散水の最適化などが行われ、生産量が向上するとともに老齢化が進む農業従事者の負担が軽減される地域が拡大していく。また、タブレットを利活用することで、自宅に帰らなくても農地で出荷依頼などの情報を共有することが可能になる地域も拡大していく。

*Technology Foresightsは、BIPROGY株式会社の登録商標です。

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