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共創的なデータ利活用の浸透

データ利活用は、個別の領域から企業活動全域にわたる利活用やステークホルダをまたがっての利活用にまで発展していく。これにより新たなビジネスを生み出したり、既存のビジネスにおいても新しい価値を見出したりすることが進められる。

このようなデータ利活用を進めるため、企業活動全域のデータをコンピュータ処理可能な形式で収集、蓄積するようになる。またステークホルダをまたがる利活用を可能とするための仕組みが整い、データやデータ分析に関する企業同士の連携が広がる。

図1 高度なデータ利活用の浸透

図1 高度なデータ利活用の浸透

背景と現在の状況

個別のデータ収集は一般的に行われており、特定の領域に留まったデータ利活用が行われている。また、目的別にデータ収集が行われているケースが多く、同一企業内でも企業活動全域にわたるデータ利活用が難しい。
一部のデータ活用先進企業で、企業をまたがるデータ活用が始まっているが、活用データにパーソナルデータが含まれるケースでは、適切なプライバシ保護策を採ることの重要性が認識されてきている。

3〜5年後の姿

新しい価値やビジネスを見出すため、企業活動全域のデータをコンピュータ処理可能な形式で収集、蓄積するようになる。社内外を問わず、データの収集者/蓄積者と活用者が異なるようなケースでも利活用を可能とするための仕組みが整い、データやデータ分析に関する連携が広がる。

データを中心とした企業間連携が広がり、事業範囲拡大などを通してお互いの企業価値向上が図られる。この企業間連携には、分析ノウハウや保持するデータの販売も含まれる。データはその活用ノウハウも含め企業間で流通するようになり、真の意味で“資源”となる。

データ利活用の対象が広がり、利活用の環境が整う

物のインターネット(IoT: Internet of Things)の進展にともない、収集・蓄積の対象に含められるデータソースが増加してくる。これらのデータソースには、センサーやスマートデバイス、業務の現場で用いられている現業システムからのデータも含まれる。また、収集・蓄積の時点では実際の活用方法が不透明なデータに関しても、コンピュータ処理可能な形式で収集され、データ化されるケースが広がる。並行して、複数の組織間でデータを相互利用するために必要なデータフォーマットの標準化も進んでいく。これにより、データの収集者・蓄積者と活用者が異なるようなケースでも利用可能となっていく。

以上により、必要となればすぐにデータ利活用を行える環境が整う。

企業内では、企業活動全体にわたるデータ収集と利活用が進む

前述したようなデータ利活用環境が整うことに伴い、これまではコストや技術的課題のため収集・蓄積されてこなかったデータも分析の対象となり、より早く細かい粒度で企業活動を総合的に捉えられるようになる。
従来はコールセンタ、生産管理、販売といった個々の場面でシステム化とデータ設計・収集が行われていたため、自部門・自工程が優先され関連部門や次工程でのデータ利活用に対する配慮が疎かになることが多かったが、現状を打破して企業活動全域を捉えることや、広範囲な利活用を目指す企業が増えていく。

コストや技術的課題が解決され、企業活動全域を捉えられるようなデータの収集・蓄積が進むことで、より有効なデータ利活用が可能となり、新しい価値やビジネスを見出せるようになる。このような利活用には、ITに閉じたスキルだけでなく、ビジネス課題の抽出や課題に対する分析軸の設定など広範囲にわたるスキルが必要になる。そのため従来の情報システム部門だけでは対応できないケースも多くなり、関連部門も巻き込んだ活動の重要性が更に高まる。

企業間では、データを中心としたエコシステムが形成される

分析視野の拡大や、より広範囲なデータ利用のために、企業間のデータ利活用連携が拡大する。戦略上の理由や、これまでとは異なる切り口がより有効と考えられることから、異業種間で互いのノウハウや保持するデータを相互活用する形の連携がより拡大していく。たとえばヤフー/アスクルと食品・日用品メーカー、クックパッドとアイディーズなどで、お互いが保持するデータを活用しあい、サービスの向上を図っている例がある。このような異業種間の連携はますます進んでいき、本業の業績拡大のみならず、事業範囲拡大へも貢献する。さらに分析ノウハウや保持データを加工して販売することも事業範囲拡大として検討され、データを中心としたエコシステムが形成されていく。その過程において、お互いが必要としているノウハウやデータを保持する企業を結びつける、マッチメーキング的な役割が求められるようになる。その役割を中心的に演じるのは、システムを提供しているITベンダーやSIerとは限らず、高度な情報活用に長けた企業自身も有力なプレイヤとなる。

企業間での連携を可能とするために、複数箇所に存在するデータを一つのデータベースとして利活用できる技術が使われていく。使用するデータはオンプレミスやクラウド上のデータベースサービスなどにも存在するため、より強固なセキュリティ確保やプライバシ保護技術が使われるようになる。特にプライバシについては、データから個人情報を削除しても、継続的なデータ採取や、他のデータと組み合わせることで個人が識別できてしまうケースが懸念される。そのためプライバシ保護データマイニングに代表されるような、プライバシを保護したまま安全にデータ処理を行う技術の利用が進む。

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