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Foresight in sight

オープンソース

事例紹介

2009年8月

株式会社ローソンエンターメディア様

オープンソース技術を駆使して、処理性能・信頼性・拡張性に優れたチケット予約サイトシステムを構築

Interview

佐々木 宏司氏の写真
佐々木 宏司氏
取締役
マーケティング本部長 兼 コーポレート室長
高木 弘司氏の写真
高木 弘司氏
IT企画室
室長代理
浦部 哲雄氏の写真
浦部 哲雄氏
IT企画室
シニアマネジャー
清水 穣氏の写真
清水 穣氏
IT企画室
アシスタントマネジャー

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USER PROFILE

株式会社ローソンエンターメディア様ウェブ画面
設立:1992年
資本金:28億9,257万5円
従業員数:215人(2009年2月28日現在)
本社所在地:東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー6F
事業内容:各種イベントチケットの販売業務を中心に、E-コマース事業、広告事業、Webマーケティング事業、情報発信事業などを展開
2011年9月 株式会社ローソンエンターメディアとHMVジャパン株式会社とが統合し商号を「株式会社ローソンHMVエンタテイメント」に変更
本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客さまにご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

【導入の背景】ネット利用者の拡大に対応してチケット予約サイトシステムを更改

  • 難易度が高いチケット予約サイトシステム
ローソンエンターメディア様は、全国ローソン店舗の販売端末「Loppi(ロッピー)」や、大規模音声応答システム「オートアンサーシステム」、パソコンや携帯電話からチケットを予約できるWebサイト「ローチケ.com」など、多彩な媒体を駆使して、音楽・スポーツ・演劇・映画など多彩なイベントのチケットを販売している。

同社は、Webサイトでのチケット販売を開始した90年代末以降、数度にわたってシステムを更改してきたが、いずれも満足できるレベルには達しなかった。というのも、チケット予約サイトシステムは、さまざまな面でハイレベルな性能が要求される極めて難易度の高いシステムだからである。

例えば、チケットをWebサイトで予約・購入するためには、イベント検索や日程・座席の選択、空席状況の確認、支払方法の選択など、多くのステップが必要であり、そのシステムには大量のトランザクションを高速処理する能力が求められる。加えて、人気の高いイベントの場合は、チケット発売の開始直後に膨大なアクセスが集中するため、急激な負荷増大にも耐えられる安定性・信頼性が不可欠だ。さらに、不正アクセス防止や個人情報保護を実現する高度なセキュリティや、イベントに合わせてサイト上で効果的なプロモーションを展開するためのサイト設計の自由度も要求されるのである。
  • チケット販売形態の変化に対応してビジネスモデルを変革
新システム開発のプロジェクトリーダーを務めた同社取締役マーケティング本部長兼コーポレート室長の佐々木宏司氏は、従来システムの問題点を次のように指摘する。

「とくに深刻だったのは処理能力の問題でした。例えばサッカーのワールドカップなど、人気イベントのチケットが発売されると、膨大なアクセスに処理性能が追いつかず、処理がフリーズすることも少なくありませんでした。しかし、システム更改のコストや労力を考えるとなかなか踏み切れず、不満を抱えながら使い続けていたのです」
佐々木 宏司氏の写真
そんな悩みを抱えた同社が今回のシステム更改を決断した背景には、事業におけるインターネット販売の重要性の高まりがあった。

「当社のチケット販売は、全国のコンビニチェーンを活用した“店舗優先”のビジネスとしてスタートしたものであり、ネット販売は一部のお客さまを対象とした付加価値サービスとして、有料の会員向けという形で提供していました。そのため、当時の販売比率は、店舗50%、電話45%、ネットはわずか5%でした。しかし、インターネットの普及にともない、“チケットをネットで買う”スタイルが一般的になるなかで、当社も従来のビジネスモデルから脱却し、ネット販売を強化していくことを決断したのです」

そこで同社は、2006年、ネット販売の会員費の無料化を決定。ただし、無料化すれば、当然アクセス数も急激に増加することが予想された。

「旧システムは、当時の会員数ですらトラブルが頻発していたので、その後のアクセス増大にはとても対応できません。早急にシステムの更改を検討する必要がありました」(佐々木氏)

【選定理由】安定性・柔軟性・拡張性を実現するハイレベルな要求に応える

  • オープン系システム開発に関する豊富な実績・ノウハウを駆使して
同社はシステム更改にあたって複数のIT企業に提案を求めた。その際に重視したポイントは、「処理性能」「セキュリティ」「サイト設計の自由度」に加えて、将来の発展を見据えた「拡張性」の高さだった。

「今後、当社がチケット販売を軸にさまざまな事業を展開していくためには、将来の機能追加やアクセス増大にも柔軟かつ安定的に対応できる、拡張性の高い予約サイトシステムが不可欠と判断したのです」と、IT企画室の室長代理を務める高木弘司氏は説明する。

こうした要件を満たすため、日本ユニシスでは、OSにオープンソース(OSS)のLinux®、アプリケーション開発にはプラットフォームに依存しないJava EEを採用するシステムを提案した。また、複数のサーバを連携させて、アクセス集中時の負荷を分散できる構成するなど、信頼性・安定性を高めるためのシステム設計方法も考慮した。

さらに、オープン系システム分野での豊富な経験を標準化・体系化したシステム基盤『Atlas Base®(アトラスベース)』(注)を活用できるのも日本ユニシスの強みである。AtlasBaseは、すでにパフォーマンスやセキュリティの検証が済んでいるシステム構成モデル「検証済みプロダクトセット」として提供するため、システム構築におけるリスク低減や品質向上、安定稼働を実現できるのである。
(注)「AtlasBase」
日本ユニシスのオープンシステム開発のノウハウと知財を体系化・標準化したシステム基盤。システム開発時の技術的な問題を解決する支援体制も充実しているため、業務システムの開発作業に集中することができ、品質の向上に寄与します。
  • チケット販売への業務理解に基づくきめ細かな対応
こうした提案内容の優位性に加え、同社が日本ユニシスを選択する大きなポイントとなったのが、チケット販売という独特なビジネスモデルに対する「業務理解度」だった。

「チケット販売という業務は非常に複雑で標準化が困難です。加えて、チケット販売会社は国内でも数えるほどしか存在しないため、この独特の業務知識を備えたシステム開発会社は極めて少ないのです。その点、日本ユニシスは大手チケット販売会社のシステムを手がけた実績をもつ貴重な存在であり、実際、初期段階から経験を活かした的確な提案をいただけました」

こう語るのはIT企画室 シニアマネジャーの浦部哲雄氏。
浦部 哲雄氏の写真
「例えば、当初のRFP(Request For Proposal:提案依頼書)では具体的には触れていなかった“不正予約の防止策”についても、日本ユニシスは過去の開発経験を踏まえて自主的に提案してくれました。『業務内容を詳しく理解している』という安心感が、日本ユニシスをパートナーに選んだ大きな理由です。実際、開発時の打ち合わせでも、私たちの要求を的確に理解するのはもちろん、こちらの気づかなかった点についても指摘してくれるなど、非常に満足できる対応でした」(浦部氏)
システム開発担当者の声
今回の提案にあたり、私たちがOSSを選んだ理由は、第一に、オープンソースの特性として、ソースコードを含めたさまざまな情報が公開されているため、容易にチューニングが可能という点です。また、特定ベンダーに依存しないため、多彩なアプリケーションから最適なソフトを組み合わせてシステムを構成できるのもOSSならではのメリットです。これらに加え、コストメリットや今後の拡張性も考慮してLinux+Javaベースのシステム提案を決めました。

SW&サービス本部 サービスインダストリー統括プロジェクト
第四プロジェクト主任
山田 喜裕

【導入の効果】利用者・システム管理者の双方に大きなメリットを提供

  • 処理能力向上と検索機能追加で快適なサイト利用を実現
2008年1月に稼働した新システムは、サイト利用者と同社のシステム管理者の双方に大きなメリットをもたらしているという。IT企画室 アシスタントマネジャーの清水穣氏にそれぞれのメリットを説明いただいた。

「まず、サイトをご利用いただくお客さまのメリットとしては、システムの処理性能が飛躍的に向上したことによって、常に安定した状態でご利用いただけるようになりました。また、お客さまの視点に立った分かりやすい画面を提供することで、希望するイベントを素早く見つけ出せるようになりました」
清水 穣氏の写真
さらに、サイト設計の自由度が高まったことで、Web画面上でのデザイン性も向上し、見た目にも楽しめる予約サイトになったという。

「従来はシステムへの負荷増大を避けるため、サイト設計者に対して『デザインはできる限りシンプルに』と制限をかけていたのですが、新システムではイベント内容に合わせて個性的な演出を施せるようになり、PR効果も高まりました」(清水氏)
  • 保守性や開発生産性などシステム運営の課題を改善
一方、システム管理者にとっての最大のメリットも、やはりシステムの安定性向上だという。

「旧システムでは、システム障害が発生した場合には、原因の特定から復旧までにかなりの時間と労力を要していましたが、新システムではこうした経験を活かした耐障害設計を組み入れましたので、障害がほとんどなくなりました。まれに発生した場合も、原因を即座に解明できる仕組みを備えているので、短時間で復旧することができます」(清水氏)

さらに「開発生産性の向上」も大きなメリットの一つだ。こうしたサイトの運営には、サービス強化のための機能追加など、日常的な改修が不可欠である。新システムでは、OSSのメリットである、標準技術の採用による作業の効率化、低コスト・短納期に貢献している。
  • ネット販売比率、売上、会員数の増加
新システム稼働により、お客さまである利用者側の利便性向上や、魅力あるコンテンツ提供が可能になり、2008年度のネット販売比率は20%を超え、会社全体の取扱高は前年度比1.2倍を達成している。これは同社が当初掲げていたネット販売比率を増やし、新たなビジネスモデルへの転換への着実な成果といえる。また、会員数は2009年3月末で135万人に達し、現在も増加中である。

【今後の展望】事業成長に不可欠なシステムとして進化を続ける

  • 高い拡張性を活かして新ビジネスや異業種とのアライアンスに対応
優れた信頼性と高い拡張性を備えた新予約サイトシステムの稼働は、同社の事業展開に新たな可能性を拓きつつある。

「新システムの拡張性は、当社が今後2つの事業戦略を実現していくために必要不可欠な要素となっています。その一つが「チケット+α」というビジネス戦略です。これは、チケット販売による集客力を活かして新たなビジネスチャンスを発掘するために、例えばイベント関連のグッズや旅行ツアーなど、さまざまな商品をチケットと連動して企画・販売するビジネスです。そのためには、チケット予約サイト上でさまざまな商品を販売できるように、毎回システムに新たな機能を追加する必要がありますが、拡張性に優れた新システムの稼働によって、こうした機能追加が効率的にできるようになりました」(高木氏)
高木 弘司氏の写真
この戦略を推し進めるために、同社は2009年3月、ローソングループにおいてネット販売事業を担う株式会社アイ・コンビニエンスと合併。今後、新システムとアイ・コンビニエンス社のネットショッピングサイトとの融合を模索中だ。

そして、同社が注力しているもう一つの事業戦略が「異業種とのアライアンス」だ。

「当社は、コンビニを利用する若者やファミリー層の支持を受け成長してきましたが、シニア世代の認知度はまだまだ低いのが現状です。そこで、今後はさまざまな異業種企業とのアライアンスを通じて、幅広い世代への認知度向上を図っていきたいと考えています。こうした提携を強化していくためには、単に提携先サイトと相互にリンクを貼るだけでなく、両サイトがシームレスに連携して利用者が違和感なく操作できるような工夫が必要です。こうした自由度の高いサイト設計も、従来のシステムでは望めないものでした」(高木氏)
  • 将来にわたって十分な処理性能と信頼性を確保
もちろん、これらの事業展開を実現するには、新システムが現在の安定した性能を発揮し続けることが前提条件となる。実は、従来のシステムも、構築当初はスムーズに稼働していたにもかかわらず、さまざまな機能を付加していくにともなってレスポンスが低下していったという。

だが、新システムにはこうしたレスポンス低下に対する対策がすでに講じられている。新システムは、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバの3層構造になっている。すなわち、サービスのレイヤー(階層)ごとにサーバを独立させた構成を採用することで、必要に応じて柔軟にサーバを増設することができ、将来にわたって十分な処理性能と信頼性を確保することができるのである。

新システムついて、佐々木氏は期待を込めてこう語る。
チケット予約のイメージ写真
「今後、当社が事業を展開していくうえで、予約サイトシステムには大きな役割、多くの機能を担ってもらわなければなりません。私たちは、今回の新システムがそうした要望に必ず応えてくれるものと確信しています」

事例のポイント

ローソンエンターメディア様の今回の事例は、予約サイトシステムの刷新によって、処理性能やセキュリティレベル、拡張性などの向上をめざしたものだ。システム刷新のポイントは、以下の通りである。
  • ローソンエンターメディア様の今回の事例は、予約サイトシステムの刷新によって、処理性能やセキュリティレベル、拡張性などの向上をめざしたものだ。システム刷新のポイントは、以下の通りである。
  • ネットを利用したチケット販売の増加や、今後の多様な事業展開に対応していくためには、Web予約サイトシステムのさらなる高度化が不可欠と考え、2006年にシステムの全面刷新を決定。日本ユニシスをパートナーとして、新システムの開発をスタートさせた。
  • OSにはLinux、アプリケーション開発にはJavaを採用。安定した性能を実現するとともに、将来の機能追加に備えた拡張性を実現。
  • オープン系システム構築に関する豊富な経験をベースとしたシステム基盤の活用によって、システム構築におけるリスク低減や品質向上、安定稼働を実現。
  • チケット販売特有の業務ノウハウに精通したスタッフによる具体的かつ実効的な提案活動が、お客さまの安心感につながった。
システム概要図
システム概念図

*AtlasBaseは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。

*Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

*Javaは、Oracle Corporationおよびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標または商標です。

*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。