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『ユニシス技報』 2001年3月発刊 Vol.20 No.4 通巻68号

特集「新世紀を迎えたシステム開発技術LUCINA を中心として」の発刊によせて

-- 丸山修 -- ▲目次


企業の経営を効率化し新たな価値を生み出すために情報技術(以下,IT)はなくてはならないものになっている.その中にあって情報産業は,今やサービスの時代を迎えている.情報産業のビジネスモデルが垂直統合型から水平分散型に移行しその過程で起こったベンダ間の競合は,サービス分野を主戦場として行われようとしている.デファクトスタンダードを押さえた少数のベンダーが圧倒的な競合優位を占めるMPU,OS,ミドルウエアなどの分野に対し,エンドユーザの利益に直結しより多くのビジネス機会と成長可能性を秘めるサービス分野には多くの新規企業が参入し,厳しい競合が現出している.

この状況の主要な要因がまたサービス市場の方向性を示すと我々は考える.

第一は,オープン化に伴う水平分散型ビジネスモデルが齎した選択の多様性である.現在のコンピューティング環境はそのアーキテクチャや技術の多様性においてかつてのメインフレーム中心の時代に比べ格段に複雑化しており,最適な選択をなすにおいてシステム・インテグレータやサービス・プロバイダに対する顧客企業の期待は大きい.最新の技術と顧客企業の能力ギャップがサービス需要を生み出している.

第二は,IT が顧客企業の経営を変革する重要な要素となっていることである.顧客企業の新たなビジネス機会を生み出すためにIT をどう利用すべきか,その提言を顧客企業は渇望しており,サービスが顧客企業の新たなビジネス機会を創出するようになる.また,経営の効率化のために顧客企業自身が持たなくてもよいビジネス・プロセスを外部のサービス・プロバイダにアウトソースすることも増えるであろう.業種業態を超えた企業の再編は,情報システムの抜本的再編,再構築に直結する.以上の点から,有力な顧客企業とサービス・プロバイダの戦略的パートナ・シップが拡大すると考える.

第三は,インターネットとそれをベースとしたE ビジネスの発展である.インターネットとE ビジネスはあらゆる企業のビジネス・インフラに影響を与えている.それらをビジネス・インフラに組込むことの出来ない企業の競合力維持は覚束無い.それらを活用してビジネス機会を如何に創出するかがキイであり,インターネット上での新たなビジネスモデルの開発が競われる.まさに上記第二点,即ちIT による経営変革の具体的な局面であり,またサービス・プロバイダ自身にとっても多様なサービスモデルの開発に鎬を削ることになる.

このような状況は,システム開発技術に対しても影響を及ぼさずにはおかない.速いビジネス・スピードに追従できる開発スピードが求められ,常に新しい技術への対応が必要となる.

開発されたシステムは実ビジネスでの利用を通してビジネス・モデルの変遷とともに変更され,革新されていく.リスク管理,市販コンポーネントの統合,ソフトウエア再利用,発展型のソフトウエア・プロセスといった開発上の課題に対処できる管理プロセスと開発方法論(Methodology)が要求される.先端技術と顧客企業の能力ギャップがサービス需要を生み出し,またサービスが顧客企業の新たなビジネス機会を創出する為にも,技術力がベースとなることは言うまでもない.基本的なIT における専門技術については,要素技術は固よりそれらの統合化技術が重要であり,多様なアーキテクチャ,技術,製品の中から機能,効率,品質要求とある程度の永続性を満たす最適な選択をなし,複雑さを隠蔽して単純な要素に還元する解決を見出すことが必要となる.この面でシステム・アーキテクトの果たす役割は大きなものとなるが,その養成は一朝一夕にはいかない.

日本ユニシスでは,このような課題に応えサービス分野での競合力を維持する為,標準開発方法LUCINA を策定している.LUCINA はコンポーネント指向開発をベースとし,アーキテクチャ・パターンとプロダクトセット(開発,実行,運用環境ソフトウエアの組)を複数のソリューション・モデルに応じて実証評価した上で事前定義している.実証済みアーキテクチャを再利用しLUCINA の詳細な開発プロセスに従うことで,リスクを軽減し新しい技術の取り込みが容易となり,ソフトウエア再利用のベースともなる.

多くのリスクの中でシステム開発を成功裏に完了する為の科学的な管理プロセスと開発方法論は車の両輪でありそれらは充分に統合されたものでなければならない.第65 号と第67 号では日本ユニシスのプロジェクト管理アプローチを紹介させていただいた.本特集号では,もう一方の輪であるシステム開発技術について,LUCINA を中心に紹介させていただく.今後のシステム開発技術に関心のある方々の参考になれば幸いである.

(E ビジネス技術部長)



  

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