掲載日:2008年7月31日

特集:「仕事と生活」が共存する社会へ。パク・ジョアン・スックチャ×松岡 功

「ワーク・ライフ・バランス」を経営視点・戦略視点で捉えることで新しい時代の組織や働き方が見えてくる。

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社員一人ひとりが仕事以外の責任や要望も果たせる環境づくりを

松岡
パクさんは日本の労働環境の変化をどのように捉えておられますか。
パク
日本は戦後から1980年代まで「長時間労働が成果に直結する」という成功の方程式に基づいて高度経済成長を果たしてきました。しかし、90年代に入ってIT革命が起こり、効率という側面で働き方に変化が起こりました。その結果、労働時間の長さが必ずしも成果に直結しなくなってきたのです。
それを象徴的に表しているのが、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年公表している先進国の国際競争力ランキングです。日本は「労働時間の長さ」では世界中でも群を抜いていますが、「国際競争力」は2007年のランキングで55カ国中24位でした。かつて国際競争力もトップだった時代もありましたが、もはや従来の成功の方程式は成り立たなくなっているのです。
こうした変化に加えて、日本は少子高齢化という新たな問題にも直面しており、年金制度の破綻が現実味を帯びはじめています。さらにグローバル化の進展によって、海外拠点の設立・現地化が進むなかで、国内の労働市場は次第に厳しくなっていくと予想されます。
松岡
そうしたなかで、日本人の働き方を抜本的に革新し、日本の企業や個人がワーク・ライフ・バランスを実現していくためには、どうすれば良いのでしょうか。
パク
私は、企業でのワーク・ライフ・バランスの取り組みは「社員が働きながら、仕事以外の責任や要望を果たせる環境づくり」のことだと捉えています。仕事以外の責任とは、自己の能力開発や健康維持、家庭責任などを指します。そして、企業には「従業員が仕事と私生活を共存させながら、もっている能力をフルに発揮できるようサポートすること」が求められると考えています。
企業は社員にとって働きやすい環境を整備し、社員はそれに応えて上手に自己管理して質の高い仕事をし、企業に貢献する。それによって双方が恩恵を受ける関係を共に築きあげることをめざす――そんな強い意識をもって双方が努力することが、ワーク・ライフ・バランス実現への決め手となるはずです。
パク・ジョアン・スックチャ氏の写真 松岡 功の写真

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