掲載日:2010年9月22日

特集:「強い経営」の秘密に迫る。対談:加賀見 俊夫 池上 彰

脈々と受け継がれてきた哲学と一貫した企業理念が卓越したソフト力を生み出す。

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ハード面でもリピーターを生み出す工夫を

池上
次は、アトラクションや施設など、ハード面の工夫についても教えていただけますか。
加賀見
東京ディズニーランドでは、外周に高さのある樹木やアトラクションを配置して、ゲストに外の世界が見えないようにしています。この外が見えないという配置は、ゲストに非現実の世界を感じていただくために非常に重要なことです。
池上
綿密に設計されているのですね。
加賀見
はい。アトラクションやエンターテイメントの数、場所についても同様です。ゲストに繰り返し来園していただけるよう、1日でパークを体験し終えることがないつくりになっています。
池上
「1日だとちょっと物足りない」くらいの印象が、リピーターになってもらうために有効なのですね。加えて、これもリピーターにとっての楽しみだと思うのですが、東京ディズニーリゾートは行くたびに新しいアトラクションが増えているイメージがあります。これだけ業績が順調であれば、現状維持で良いという判断もあり得ると思うのですが、設備投資についてはどのようにお考えですか。
加賀見
東京ディズニーシーをつくるときには思い切って投資しました。年間の売上が2,000億円に満たない時期に、東京ディズニーシーとモノレールのディズニーリゾートライン、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、そして舞浜駅前の商業施設イクスピアリで約5,000億円をかけました。過剰投資ともいえますが、それぐらいでないとスケール感が出せないと考えたからです。
池上
そのスケール感は、どのようなところに現れるのでしょうか。
加賀見
例えば、東京ディズニーシーの豪華客船、S.S.コロンビア号をご存じでしょうか。ほぼ実物大の客船を再現しているのですが、最初の計画では3分の2程度のサイズを予定していました。しかし、やはりゲストを圧倒するような客船でなければ意味がないと考え、現在のサイズに変更しました。中途半端な世界では非日常感を味わっていただけませんから。
池上
確固たるコンセプトを実現するためには、投資も妥協しないことが必要なのですね。
加賀見
はい。また、パークのアトラクションにとどまらず、先ほどお伝えした商業施設のイクスピアリや、世界中で人気のサーカス、シルク・ドゥ・ソレイユの常設シアター「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」など、常に新しい夢や感動を提供し続けていくためにも、投資は必要だと考えています。
池上
ここまで話を伺って、ソフト・ハードの両方を駆使して夢の空間を創出しているということがよく理解できました。ところで、これだけの大規模なオペレーションを支えるためには、ICTが不可欠だと思うのですが、いかがでしょうか。
加賀見
ゲストの目に触れないところで活用しています。約2万8,000人にのぼるキャストの管理・配置はもちろん、ショップの販売管理やホテルの予約など、あらゆる部分で最新のICTを使いながら、パークや関連施設を効率的に運営しています。
加賀見 俊夫氏の写真 池上 彰氏の写真

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