鼎談

掲載日:2017年5月

破壊的イノベーションを生み出すために。

日本企業の強みを活かした“皆が主役になれる”ビジネスエコシステムと
失敗を恐れぬ文化の醸成が
イノベーション創出の可能性を拓く。

挑戦した結果の失敗を奨励しそこから学べる文化を醸成

福島
世界のさまざまな企業をご存じの佐藤さんにお伺いしたいのですが、破壊的イノベーションが生まれる土壌や文化といった観点で、海外と日本の企業に違いはあるのでしょうか。
佐藤
日本でも欧米でも同じなのは、企業は放置しておくと保守的になるということです。ですからビジネススクールでは、イノベーションを起こすためのマインドを一生懸命教えています。
とくに、日本と大きく違うのは失敗に対するスタンスですね。海外企業は失敗への耐性を身に付けることを大変重視しています。
福島
ご著書「世界のエリートの『失敗力』」でも失敗の大切さを強調されていますよね。
佐藤
米国では、どんな失敗をして何を学んだのかという「失敗経験」が評価されます。スターバックス社のH・シュルツ氏などグローバル企業のCEOも、失敗があったからこそ今の自分があると話しています。成長のためには失敗が不可欠だという考え方なのです。
福島
日本は減点主義のせいか、失敗を恐れて挑戦を避ける傾向が強いと思いますが、それではイノベーションは起こりませんよね。平岡社長はその点、「成功のKPIは失敗の数だ」と明言されています。失敗が認められる組織づくりは、経営者として覚悟がいるのではないですか。
平岡
そこはまさに“ディターミネーション”です。新規事業など未知の領域では、失敗を前提として挑戦を繰り返すなかで成功者が生まれ、リーダーやメンターが育ちます。そのため、まずは私自身がいくつも挑戦し、いくつも失敗してきました。
佐藤
失敗した上司だからこそ部下の気持ちが理解できると。
平岡
そのとおりです。失敗を経験していない上司は「不確実な部分を確実にしろ」と指示しますが、確実なことは誰でもできます。誰も分からない不確実性があるからこそ、破壊的イノベーションが起こせるのです。
また、そうした経験を積んでいけば、不確実な要素を切り分けてリスクを検証できるようになります。例えば、今まで誰も手をつけなかった原因は何か、自分はそのなかのどれをブレイクスルーしようとしているのかなど、自問自答ができるわけです。
福島
失敗から学び、身に付けた力は、大きな財産になりますね。
福島 敦子氏の写真
平岡
ただし、注意しなければならないのは、失敗には2種類あるという点です。1つ目は見落としや不注意による失敗、いわゆるケアレスミスです。これを繰り返しても得るものはありませんから、カイゼン活動や標準化などを通じて撲滅していく必要があります。
2つ目は未知の領域に挑戦した結果の失敗です。こちらからは多くのことを学べるので奨励すべきです。両者は必ず分けて考えなければなりません。
佐藤
まさに平岡社長のご指摘どおり、ハーバードのエイミー・エドモンドソン教授も、「業務の種類と失敗の許容量」について説いています。ルーチン業務ではできる限り失敗は減らし、イノベーション業務では必要な失敗は重ねていくべきであると。
もっとも、日本のみならず米国の企業であっても、イノベーション業務なのにミスを咎め、ルーチン業務なのに失敗を推奨するといった真逆の対応をしているケースが散見されます。リーダーや管理職は、どの業務であればどこまで失敗してよいかを決めておくことが肝要です。
福島
失敗を財産とする文化が根づくには時間がかかるでしょうから、それまではほかの人の失敗事例から知見を学ぶことも大事だと思います。
佐藤
日本ユニシスには失敗を共有するような仕組みがあるのですか。
平岡
これまでは個々の失敗から得た知見は暗黙知となっていたのですが、それらを集めて形式知として蓄積し、共有財産にしていこうという取り組みを進めています。しかし、今のところまだカタチにはなっていません。
やはりデータベース化だけでなく、失敗を受け入れるマインド醸成を加速させていくことが重要ですから、より失敗をポジティブに捉えられるような工夫が必要だと感じています。例えば、失敗を「失敗」でなく「中断」と呼ぶとか。
佐藤
面白いですね。今はひとまず一時中断しているだけ、という意識に変えるわけですね。

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