INSIGHT 日本ユニシスグループの視点から

2016年5月掲載

地域活性化の実現に向けて業種業界の枠を超えた
ビジネスエコシステムの構築に挑む。

INSIGHTイメージイラスト

地域医療・介護連携を通じて人々が安心して暮らせる社会づくりに貢献

――ほかには、どのようなプロジェクトがあるのでしょうか。

藤田
「デジタル/ライフイノベーション関連」では、「ひと」「しごと」「まち」という3つの切り口から、地域創成に寄与するエコシステム事業を推進していきます。進行中のプロジェクトの1つに、先ほどお話しした地域包括ケアへの取り組みがあります。
高橋
現在、私が担当しているのが、岩手県気仙地区で医療・介護連携ICTシステムを構築する「未来かなえネット」プロジェクトです。
気仙地区は、岩手県東南部の大船渡市、陸前高田市、住田町の2市1町で構成されています。近年、全国的に医師不足が問題となっていますが、岩手県の医師数は全国平均を下回っており、県内でも気仙地区などの沿岸部は一層医療資源が乏しい地域となっています。
臼木
東日本大震災において大きな被害を受けた地域でもありますね。
高橋
はい。域内の多くの医療機関が被災し、まだ再建できていない施設も少なくありません。そのため、一部の中核病院に患者が集中し、勤務医に過度な負担がかかっているといった問題も生じています。こうした課題を乗り越えて、地域住民が安心して暮らせる医療・介護インフラを提供するためにスタートしたのが「未来かなえネット」プロジェクトです。

――どのようなシステムを構築しているのですか。

高橋
地域住民の方々に質の高い医療・介護サービスを提供できるよう、病院、診療所(医科/歯科)、薬局、介護サービス事業所など、各施設が保有している情報を「未来かなえネット」で一元管理して医療・介護・投薬など多職種間の双方向連携を図ります。
その最初のステップとして、地域の主要な病院や診療所、介護施設など約30施設を結んだ第一期システムを構築し、2016年4月から運用を開始します。
藤田
医療施設間で患者の情報、例えば病歴や処方履歴、アレルギーの有無といった情報を共有できていれば、よりスムーズな医療サービスを提供できるようになります。
また、介護施設や訪問介護の現場でも、相手の病歴や処方状況などの情報を正しく把握できるメリットは大きいはずです。
高橋
「未来かなえネット」の大きな特徴は、これまでの医療連携システムが電子カルテをベースにした事例が多かったのに対し、電子カルテではなくレセプト(医療報酬明細書)ベースでのデータ連携を実現しているという点です。
藤田
わが国における電子カルテシステムの導入率(2013年度)は、一般病院全体で20%強、病床数200床未満の医療機関では15%にも満たないのが現状です。
そのため、電子カルテベースのプロジェクトでは、地域の多くの医療機関が新たなシステム投資を行う必要があり、その負担が情報連携の裾野を広げるうえでの大きな障害となっていました。
藤田 優の写真
高橋
一方、レセプトのオンライン請求システムの導入率は、病院・薬局ともほぼ100%に達しているため、「未来かなえネット」に参加する医療機関は、新たなシステム投資が不要なのです。今回のシステムは、このレセプトをはじめ各医療機関がすでに導入済みのシステムから必要なデータを自動収集する機能を備えています。
それであれば、施設の業務フローを変えたり新たな操作を覚えたりする必要もないので、便利ですね。
高橋
そのメリットが多くの施設に参加いただけている理由の1つでもあります。この特徴は、当社が開発し2014年から稼働している新潟県佐渡地域医療ネットワークシステム「さどひまわりネット」から継承したものです。
第二期システムでは、新たに救急救命医療との情報連携を図る予定です。119番通報を受けて救急車を出動させる時、救急隊員がモバイル端末などで対象者の病歴などを事前に把握できれば、より迅速で確実な措置を取ることができるはずです。

「未来かなえネット」概念図

「未来かなえネット」概念図

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