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Foresight in sight

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feature vol.8

昨年の雪辱晴らすも、あと一歩「賜杯」に届かず!全日本実業団選手権、惜しくも準優勝。壮絶な死闘を繰り広げた我が日本ユニシス・チームの健闘を称えつつ、第55回全日本実業団選手権の熱戦を振り返る。
第55回全日本実業団選手権
3連覇に挑む王者トナミ運輸、3年ぶりの優勝を狙うNTT東日本、悲願の初優勝に燃える日本ユニシス。「実力伯仲の3強時代」と銘打った今大会、いったいどのチームが賜杯を手にするのか、誰もが固唾を呑んで勝負の行方を追った。そして運命の準決勝、そこには6時間を越える大会史上最も過酷で壮絶な死闘が待ち受けていた・・・。

目指すは、悲願の初優勝

6月11日(土)、どしゃぶりに見舞われた大阪市中央体育館。梅雨時特有の物悲しい外の雰囲気とはうって変わり、館内は早朝にもかかわらず熱気と興奮に包まれていた。迎えた「第55回全日本実業団選手権」、我が日本ユニシスは順当に勝ち進み、午前9時30分より準々決勝(対YKK AP九州)が組まれている。いよいよここからが正念場、地下フロアでは中條監督を中心とした団結の円陣からゲキが飛ぶ、“悲願の優勝まであと一歩!”。今回も、その分厚い壁を越えられるかどうかがポイントであることは間違いない。奇しくも、このまま下馬評通り勝ち進めば、昨年同様、準決勝でトナミ運輸、そして決勝でNTT東日本と当たることになる。立ちはだかる2枚の壁・・・。実力伯仲の「3強時代」の中にあって、組み合わせの運、不運は確かに大きな影響を及ぼすが、動かしようのない現実に対してネガティブな考えを巡らせても打開策など何も生まれない。答えはただ一つ、とにかく集中力を高め、目の前の一戦一戦を全力で戦い抜くしかないのだ。
円陣を組み、気合を入れるユニシスチーム
円陣を組み、気合を入れるユニシスチーム

好発進の準々決勝(YKK AP九州戦)

午前9時30分、同じく順当に勝ち上がってきたYKK AP九州との準々決勝が始まった。先鋒ダブルスは、福井・池田ペア。リラックスした表情の中にも揺るぎない気迫がライバルを威圧する。試合の行方は、2ゲーム目でコンビネーションの乱れから接戦に持ち込まれるが、持ち前の粘り強さで息を吹き返し、終わってみれば2-0の圧勝。続く劉・仲尾ペアは、やや油断があったのか第2ゲームを落とすが、第3ゲームは15-2のスコアでその実力差を見せつけた。順当に勝ち星を挙げ王手をかけたユニシス・チーム、ここはシングルスの中西で一気に準決勝進出を決めたいところ。試合は一見、互角の様相を呈していたが、なぜかポイントだけが中西側に吸い寄せられ、その差がどんどん開いていく。めまぐるしいダブルス戦の残像のせいか、ゆったりとした試合運びが中西をさらに大きく見せる。相手のミスを誘いながら、自分のミスを削減していく余裕の勝利で準決勝進出を決めた。
第1ゲームを先取した福井・池田ペア
第1ゲームを先取した福井(手前)・池田ペア
今回、コートサイドから試合を観戦することができたのだが、熱戦もさることながら、ひときわ目を奪ったのがベンチからの応援だ。中村マネージャーを中心に、とにかく選手全員が声を出し、コートに立つ選手を鼓舞させる。ふと、5月に山田、中村両氏をインタビューした時のことを思い出す。「コート外は紳士でも、コートに立ったら鬼になれ」。全員が揃った総合練習でも、山田、中村は体育館に響き渡るほどの声を出し、チーム全体に情熱を注入していた姿が甦る。全ては悲願の実業団初優勝のために・・・。その思いは、準決勝のトナミ運輸戦でついに爆発することになる。
ベンチの応援にも力が入る
ベンチの応援にも力が入る

歴史に残る準決勝(トナミ運輸戦)

トナミ運輸戦を前に中條監督から指示を受ける選手たち
トナミ運輸戦を前に中條監督から指示を受ける選手たち
YKK AP九州との戦いを終えたその30分後、いよいよトナミ運輸との決戦の時がやって来た。昨年、準決勝で敗れているだけに、その雪辱をなんとしてでも晴らしたい。選手の顔つきが明らかに変わった。戦闘モードに入る、とはこのことか。近寄れない、目を合わせられない、緊張を超えた緊迫感。やがて訪れる壮絶な死闘を、我々はただ黙って目撃するしかないのだ。

先鋒、坂本・池田ペア。対するトナミは舛田・大束(忠)ペア。まさにエース同士のガチンコ勝負が幕を開けた。序盤戦、お互いに相手の様子を伺いながらの試合運び、取りつ取られつの接戦となるが、舛田選手の目の覚めるような弾丸スマッシュが流れを一気に変える。ユニシス・ペアもしぶとく食らいつき一度はポイントを押し上げる。13-14。舛田の顔が一瞬苦しそうに歪む。だが、大事な詰めの段階でミスを連発し、最後は気合いで打ち込まれ第1ゲームを落としてしまう。インターバル、池田の汗の量が実力伯仲の熱戦を物語っていた。
そして第2ゲーム。序盤は第1ゲームを落としたショックが尾を引くが、少しずつ自分たちに流れとリズムを引き戻す。途中5-5の均衡状態が長く続くが、いったんポイントが動き始めるとユニシス・ペアは手がつけられない。まるで自分の波を見つけたサーファーが華麗なライディングを決めるように勝利をあっという間にものにした。タイに持ち込んだユニシス・ペアに、若干の不安があるとすれば体力だ。強打のトナミ・ペアに対して長いラリーに持ち込み勝利をもぎ取るユニシス・ペアの戦法は足に猛烈な負担がかかるからだ。案の定、ファイナル・ゲームに悪夢は訪れた。3-12と大きくリードされていた局面で池田の足が悲鳴を上げた。痙攣を起こし倒れこんでしまったのだ。インターバルをほとんど取ってもらえず、半ば足を引きずりながら池田は再びコートに立つ。だが、守備範囲をカバーする坂本の献身的なプレーも実らずゲームカウント1-2で落としてしまう。試合後、池田はタオルを頭から被り、足早にロッカールームに消えていった。悔しさに溢れた彼の背中を見て、選手の誰もが闘争本能に火をつけたに違いない。これが燃えずにいられるか、と。
坂本(右)・池田ペア
坂本(右)・池田ペア
第2ダブルスは、YKK AP九州戦に続いてペアを組んだ好調の劉・仲尾。相手はベテランの域に入った酒井とインドネシアのハルモノだ。坂本・池田ペアの熱戦に鼓舞した二人は、多彩なテクニックを駆使して次々とエースを奪っていく。仲尾のゲキがコートに飛ぶ、劉の顔が鬼になる。15-10、15-8の連取で団体戦ポイントを1-1のタイとした。
山田選手
シングルス 山田選手
ダブルス戦が終わり、シングルスの先陣を切ってエース山田の登場。相手は最近メキメキと力をつけている大束(真)だ。試合前、山田は応援ベンチから一人離れて集中力を高めていた。今年は新キャプテンとなったこともあり、人一倍、実業団優勝のタイトルを切望していた。それだけに気合いが違う。その静かなオーラは刃物のように鋭利だった。だが、試合が始まると、山田のプレーは終始受身にまわってしまう。大声で威嚇する若い大束(真)の強烈なクロス・スマッシュ、そしてライン・ジャッジへの不満が山田の集中力を次第に削いでいく。そして、そのままの勢いで第1ゲームを押し切られてしまう。第2ゲームに入ると、ようやく山田本来の実力が甦る。「風上に立った相手に早いスマッシュを打たせ過ぎた」と冷静に自分の試合を分析していた山田は、みるみるその格の違いを見せつける。15-12、15-4の連取。2度のオリンピックを経験したここ一番の勝負強さが、チームに団体戦王手をプレゼントしてくれた。
中西選手
シングルス 中西選手
残りはシングルスの石川と中西に託された。石川の相手はトナミ運輸のエース舛田だ。ユニシスの山田同様、圧倒的なカリスマ性を持つ舛田の前に、終始押され気味だった石川だったが、トナミをも圧倒する大応援に奮い立ち、第1ゲームは惜敗するものの、第2ゲームを奪うという健闘を見せる。体力はどうか。完全分業制で優勝を狙うユニシスに対し、トナミの舛田はダブルの死闘に続く2戦目だ。だが、そんな他力本願な発想を舛田の弾丸スマッシュは木っ端微塵に吹き飛ばす。一発のスマッシュで相手の心までへし折ってしまう迫力は敵ながらアッパレだった。ついに団体戦ポイント2-2・・・。
死闘に決着をつけた中西選手を迎えるチームメイト
死闘に決着をつけた中西選手を迎えるチームメイト
すべては中西のシングルス戦で決まる。時計の針は18時を過ぎようとしていた。選手も、応援ベンチも、観客も、そして取材する我々も体力の限界だ。誰もが中西に祈る思い。この死闘を無駄にしないでくれ・・・。試合が始まった。体のキレ、反応、集中力、この日の中西は完璧だった。第1ゲーム15-4で奪取した時点で、我々は勝利を予感した。第2ゲーム、9-1、11-1、安全圏に突入しても中西の集中力は途切れない。魂のジャンプ・スマッシュがトナミの戦闘意識を完全に破壊した。6時間を越える死闘、明日の決勝など考える余裕がないほど、その瞬間、ユニシス・チームは力尽きた。

燃え尽きた決勝戦(NTT東日本戦)

6月12日(日)、昨日の死闘を称えるかのように、大阪の空は晴れ渡っていた。迎えた決勝の日。だが、トナミ戦勝利の代償は、ユニシス・チームに「完全燃焼」というリスクをもたらした。体力的にも精神的にも、一抹の不安が全身をよぎる。午前10時30分、決勝の相手は予想通りNTT東日本。そして、嫌な予感はある意味的中した。昨日見せた近づきがたいほどの殺気、緊迫感がそこにはなかったのだ。燃え尽きてしまった選手たちが、気力だけでそこに立っている痛々しい姿だけが脳裏に焼きついてしまった。
劉・仲尾ペア
劉(左)・仲尾ペア
試合の経過は、トナミ戦の死闘の後だけに心苦しいほどの内容だった。ファイナル・ゲームまで粘った劉・仲尾ペアは最後までモチベーションを保ち続けたが、勝利の実を結ぶことはできなかった。坂本・池田ペアは、やはり昨日のケガの影響は否めないだろう。シングルスの先鋒を務めた石川は、全日本王者・佐藤の前に健闘するも力の差を見せつけられた。これは、総括すると、トナミ戦には勝利したが、NTT東日本と戦うだけの心身のスタミナが残っていなかったということか。組み合わせの駆け引きなどもあるだろうが、視点を変えれば、トナミ、NTT東日本を連続で撃破する力をつけなければ、悲願の初優勝はまだまだ遠い、ということなのか。試合後、山田キャプテンは力なく重い口を開いた。
石川選手
シングルス 石川選手
「今年こそ、NTT東日本、トナミを連破して優勝するチャンスだった。でも、またいつものように決勝でやられてしまった。何かが足りない、何かがきっと、足りないんだ・・・」

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表彰式・健闘したユニシスチーム
健闘したユニシスチーム
熱戦が繰り広げられた大阪市中央体育館に静寂が戻った。今年もいろんなドラマが生まれ、悲喜こもごもの結果をもたらした。日本ユニシス、準優勝。154チーム中、堂々の2位でありながら、悔し涙を流した選手たち。だが、我々はこう思う、僅かに足りない何かを必死に追い求めるその姿こそ、超一流アスリートの証しだと。来年はきっと、その足りない何かを有り余るほど見つけてくれることだろう。そしてきっと、「優勝」という名の美酒に酔いしれているに違いない。
殊勲の準優勝
殊勲の準優勝。念願の団体優勝を目指し、新たなスタートへ。
【 準々決勝 】
  日本ユニシス 3-0 YKK AP九州
D1 福井剛士・池田信太郎 2 15-6
15-13
0 花田政文・田上良治
D2 劉 永・仲尾修一 2 15-11
13-15
15-2
1 村中陽介・小林広季
S3 中西洋介 2 15-6
15-1
0 土田真義
S4 山田英孝     花田政文
S5 石川澄     小林広季
【 準決勝 】
  日本ユニシス 3-2 トナミ運輸
D1 坂本修一・池田信太郎 1 13-15
15-9
5-15
2 舛田圭太・大束忠司
D2 劉 永・仲尾修一 2 15-10
15-8
0 ハルモノ・ユウォノ・酒井将之
S3 山田英孝 2 8-15
15-12
15-4
1 大束真也
S4 石川澄 1 7-15
15-6
1-15
2 舛田圭太
S5 中西洋介 2 15-4
15-4
0 大束忠司
【 決勝 】
  日本ユニシス 0-3 NTT東日本
D1 劉 永・仲尾修一 1 15-9
8-15
12-15
2 松本徹・佐藤翔治
D2 坂本修一・池田信太郎 0 7-15
13-15
2 川口馨士・川前 直樹
S3 石川澄 0 13-15
1-15
2 佐藤翔治
S4 山田英孝     新開裕介
S5 中西洋介     清水裕
【 男子順位 】
優勝 NTT東日本
準優勝 日本ユニシス
3位(ベスト4) JR北海道
トナミ運輸
(2005年7月8日掲載)
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