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AIへの期待は確信に

世界中でAIの取り組みが数多く行われることで、AIによってできることできないことが理解され、AIに対する期待は確信になっている。多くの企業でAIを活用しようとしているが差が出ている。AIのためのクラウドサービスやオープンソースのフレームワークが多数提供され、利用環境が整っている。世界中で様々な機械学習が行われ、精度の良い学習済モデルのマーケットが形成されている。

背景と現在の状況

テレビや新聞、Webニュースなどで、AIの話題が無い日は無く、AIについて異常と感じるくらい、過熱している。企業やITベンダーからは、「AI専任の部署を作った、ソリューションにAIを組み込んだ、AIブランドを作った」など、多くのニュースリリースが出され、AIに関するイベントやセミナーも多数開催されている。
しかし、AIで何ができるのか、何が変わるのかがまだ漠然としており、実感を持って理解されていない。また、人の雇用を奪うなどネガティブな話題も多く、期待と疑念が入り混じった状況にある。企業のAI活用は取り組みに差が生じ始めている。先進的企業は自ら研究機関を立ち上げたり、有力ベンチャーと提携したり、積極的に活動している。一方で検討を始めていない企業も多い。

3〜5年後の姿

AIによる成果が実感され、AIに対する期待は確信になっている。ほとんどの企業でAIを活用しようとしているが、うまくできる企業と、そうでない企業で差が出ている。AIのためのクラウドサービスやオープンソースのフレームワークが多数提供され、利用環境が整っている。

ますますAI

世界中でAIの取り組みが数多く行われ、その結果、AIによってできることできないこと、将来的に可能となりそうなことが理解されている。現在のような過熱は冷めているが、成功事例、失敗事例、成功のためのスキルやノウハウなどが共有されることにより、AIによる成果が実感され、AIに対する期待は確信になっている。
AIは仕事/社会/生活のあらゆる場面で欠くことのできない存在となり、ほとんどの企業でAIを活用しようとしているが、うまくできる企業と、そうでない企業で差が出ている。そのため、AI活用を支援するコンサルタントの利用が広がっている。

また、現在混同されがちな、自動翻訳や囲碁などの特定領域に絞ってAIを適用する、いわゆる「弱いAI」と、人間の知能や思考そのものを実現する「強いAI(汎用AI)」が区別されるようになっている。弱いAIが社会の様々な場面で広く普及が進むことと並行して、強いAIについての研究も世界的に進められている。

AIは当初、新規ビジネス/サービス、新たな価値の創造、新規性の高いものへの適用に注目が集まった。一方、既存の業務/システムの自動化/効率化、システムの使いやすさ、必要な情報の探しやすさの改善などへの適用効果も評価され、両方向に拡大している。
AIやロボットが人間の仕事を奪うなど脅威として見られてきたが、労働人口の減少が著しい日本では、AIやロボットを労働力確保のために積極的に利用している。例えば、ロボット、自動運転車、ドローンなどにより物理世界を自動化し過疎化が進む地域社会を支えている。
また、ホワイトカラーの仕事も自動化されている。大学の授業における小論文のチェック、膨大な帳簿のチェックを行う会計士や税理士、膨大な過去の判例を調べるパラリーガルなどの仕事が自動化される。システム開発でも、品質データの収集分析/品質管理報告書の作成およびレビューも自動化されていく。経営についても同様である。従来からある意志決定支援が大幅に強化され、AIによる経営意志決定支援が使われ始めている。

AI利用環境の充実

機械学習のためのクラウドサービスや、深層学習のためのオープンソースのフレームワークが複数提供され、高度なアルゴリズムを手軽に利用できるようになりつつある。AIへの取り組みの拡大に伴い、新しいアルゴリズムやAIサービスは基本的なものから、特定業務に最適化したものまで多種多様になり、使い勝手も改善されていく。その反面、多くのサービスから最適なものを選択することが難しくなるが、適切なものを提示するサービスも出ている。
AIクラウドサービスの利用が拡大することに伴い、学習させるために大量にデータをアップロードしてしまうと、他のクラウドに大量データを移動することが困難になり、ロックインされるリスクがある。

一方で、クラウドベンダーから、GPUに変わる深層学習専用のプロセッサや、量子コンピューターが利用できるサービスが提供され、最新のハードウェアが手軽に使える環境が整っている。

高度なアルゴリズムのオープンソースソフトウェアによる実装も増える。深層学習を超える新たな技法が開発され、これまでと違う次元に進んでいる。AI活用分野に応じた良質なデータが提供され、データ収集をゼロから行わなくても良いケースが増え始めている。

世界中で様々な機械学習が行われ、精度の良い学習済モデルのマーケットが形成される。学習済モデルとは、AIが生成した、なんらかの判定や予測をしてくれる計算式である。例えば、就活生のエントリーシートを入力すると将来のパフォーマンスや年収をかなり正確に予測できるような、採用部門向けの学習済モデルが販売されている。

AI技術の進歩

AI技術が進歩することで、以下のようなことが起こっている。

  • 少ないデータからの学習
    深層学習は高い成果を上げる一方、学習に大量のデータが必要なこと、それらを処理するために大きなコンピューターリソースが必要なことが課題となっていた。これらの課題を解決するため、少量データあるいは学習データに存在しないケースでも深層学習並みの精度が得られる技法の研究が進んでいる。

  • 属人的ノウハウの学習
    労働人口が減少する中、製造業やサービス業を中心にベテランのノウハウの継承が課題となっており、AIを用いた解決が試みられている。ベテランのノウハウは本人が意識していないことも多く、AIに学習させるためのデータを整えることが難しい。このような課題に対応するため、ベテランの行動や言動とそれらがもたらす結果から、最適な行動を学ぶような技法の研究が進み、一部試行されている。

  • AI同士の協調
    自動運転車に搭載されているAIと、交差点などに設置されているAIや歩行者のウェアラブルデバイスなどのAIが連携して状況を認識するなど、異なるAI同士が互いに協調して動くようになっている。また、AI間で学習結果を共有することによる、学習スピードの高速化や判断精度の向上も試みられている。

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