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ワークライフバランスの推進は企業と個人、そして国にとっても必要なこと

9月4日に日本ユニシス本社で株式会社ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんをお招きして社員向けセミナーを開催しました。小室さんは講演の中で、「欧米諸国でも30年前は働く女性の出生率は専業主婦に比べて低かったのが、その後の国の政策や企業の努力で逆転し、働く女性の出生率の方が高くなった。日本でも働く女性が安心して子供を産み育てられる環境にしていく必要がある」とおっしゃっていました。

小室 淑恵氏

小室さんの講演後には第2部として社員によるパネルディスカッションも実施しました。制度はあっても取得しにくい雰囲気があったり、制度運用に不便な面があると「見せかけのワークライフバランス先進企業」になってしまう、との意見がありました。また、在宅勤務試行者からは時間の使い方を工夫することにより、在宅勤務や時短勤務でも労働の効率を上げて私生活も仕事も生産性を上げていくことができる、という経験談の発表もあり、制度整備と同時に制度利用者自身の工夫も必要だと感じました。

日本では相変わらず少子化が進んでいます。出生率は2006年は1.32、前年05年の1.26から持ち直したと言う報道もありましたが、政府内には「今回の出生率上昇の要因は、景気回復による雇用環境の改善が大きい。15年後には子供を産む年齢の女性の人口が減るなどするため、少子化傾向は今後も変わらない」との見方もあるようです。これからは団塊ジュニアが30歳後半にさしかかるため、いよいよ世界最高速の少子化が訪れると予想されています。

国によって様々ですが、70年代に少子化対策を講じたスウェーデンやフランスなどでは出生率低下に一定の歯止めがかかっているという事実があります。日本でも認識や一時的な対策ではなく、数十年のレンジで少子化対策を国として講じなければ経済力低下をはじめ、今問題の年金や健康保険など、大きな課題を後の世代に持ち越すことになります。

このような状況で民間企業としてできることは何でしょうか。冒頭のセミナー紹介で述べたように企業としては、広く雇用の機会を提供することを前提として、育児をする社員への諸制度を整備すること、女性だけでなく男性も子育てをしながらも働き続けやすい職場風土に変えていくこと、などが必要です。こうした環境を整備することが、中長期的には人的資源不足への対応になる、という会社のメリットにもなります。

一般社会人や会社員としてできることは何でしょう。価値観の問題でもあるので、「みんなで子供を産んで育てましょう」というようなことは言えませんが、社会としての少子化が問題であることは合意いただけると思いますので、出産育児をする同僚やメンバーにたいして協力的な姿勢を示すことが大切だと思います。育児時間を取得する会社員の方も肩身を狭くしてとるのではなく、国が認めている権利です、または、少子化対策です、などと胸を張って取得できる雰囲気作りが大切ではないでしょうか。

とはいえ、冒頭で紹介したパネルディスカッションにもあったように、制度を利用するからには自分なりに時間の使い方を工夫するなど、まわりから見て出産や育児への理解が深まるような努力は必要だと思います。例えば、出産や育児を経験した方は皆さん「早く帰れるように効率よく仕事をした、休むからには周りにできるだけ迷惑をかけないよう努力した」ということを言われます。また、育児休職明けで出社してくる方は、自分が休んでいた間の上司や同僚の協力に感謝し、モチベーションを高めて再び仕事に取りかかっていると聞きます。現在弊社で試行中の在宅勤務は育児や介護で時間的な制約の中仕事を続けたいと思っている社員には非常に有効な制度だと思います。もう会社を辞めるしかない、とあきらめかけている方も活用できると思います。また、出産や育児がしやすい雰囲気になれば、子供を持つことに消極的になっている社員の背中を押してあげることになるかもしれません。

このようにワークライフバランスを勧めていくことは企業にとっても個人にとっても、そして国レベルでも必要なことだと思います。日本ユニシスグループでは積極的にワークライフバランスがとれる働き方を進めていきたいと考えます。