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「やる気・やりがいのサイコロジー」社内セミナー開催

2008年2月28日掲載
CSR推進部

今年1月17日、BIPROGY関西支社で岡山大学大学院の山下 京(みやこ)先生(写真)を講師にお招きして、社員向けセミナー「やる気・やりがいのサイコロジー」を開催し、大変好評でした。「やる気・やりがい」が向上したり、ときには下がってしまうメカニズムについて、先生のお話を簡単に紹介しながらお伝えします。

山下京先生セミナー風景

『あなたはもし20億円の現金が手に入ったら働くことをやめますか』という質問。米国人は過半数が「やめて悠々自適に暮らす」、日本人は過半数が「それでも働き続ける」という調査結果の紹介から話は始まりました。「お金をもらえるので働いている」だけではないということなのですが、一般的には「無給でもいいから会社で働く」という人はいないわけですから、“お金は重要な動機付けであるものの日本人にとっては最重要ではない”ということが第一点。

『幼稚園児、絵を描くのが好きになったのはどっち?描いた絵を褒めてあげた子か、描いたのに放っておかれた子か』これが二番目のお題。当日のセミナー来場者に手を挙げてもらうと半々の反応。先生の回答は、「褒めてあげた子が絵を描く枚数が多かったが、褒めるのをやめると描く数が激減。長い目で見ると放っておいた子がたくさん絵を描くようになった」ということです。つまり、“外部からの動機付けは有効だがずっと続けないと効力がなくなる”ということが二点目。

やる気を出すための動機付けには2種類あり、上記のようにお金をもらったり褒められる、など外からの刺激(外発的動機付け)と、自分の中からこみ上げてくる内発的動機付けがある。内発的動機付けは「自分で、できる」ことが重要で、三点目の例として『ハンモックの犬』を紹介されました。

『ハンモックに四肢をはめ込まれて逃げられない犬が電気ショックを与えられ、自分の意思と努力で電気ショックが軽減できる犬と、自分ではどうにもならない犬では、前者はハンモックから自由になったあとも外部からの電気ショックに反応するが、後者は無反応という風に、違う行動をとるようになってしまう』

つまり「自分の努力で、より良い環境に変えられると思えること」は非常に重要であるということです。中には「私は今、ハンモックの犬状態だ」思う人もいるかも知れませんが、自分でできると思えれば次の行動も違って来るというヒントです。動機付けは内発、外発どちらか一方ではうまく働かないのが一般的で、成長する企業では両方のバランスが良くとれているということでした。

最後の例は『ピグマリオン効果(別名:期待効果)』。学校で先生が将来の勉学面での成長を期待する子供たちは、本人にそのことが直接伝わっていなくても本当に伸びる、という実験があるとのこと。つまり「期待が人を創る」。逆の面もあって、「あの人とは絶対に合わないな」と最初に思うと本当に上手くいかなくなる、ということもあります。

このように、ある期待を持つことでそれが現実となってしまう現象を予言の自己実現と呼ぶそうで、社会の現実も、“これが現実”と思っていることは、実は本人の心の産物である場合が多い。人は信じたように行動し、行動の結果現実が創り出されることが多いということなのです。なにか新興宗教のような気もしますが、「思いは叶う」というフレーズは、ある技術を極めたプロフェッショナルや起業に成功したシリコンバレーの経営者の口から良く出てくるせりふです。人に期待されること、自分で期待を創り出すこと、私たち会社員でも「自分で、できる」ことは多いのではないでしょうか。

会社には人事制度や経営戦略の浸透による外発的動機付けを期待しますが、やはり、自分が期待することを実現できる内発的動機付けも重要だと思います。「あなたの将来は運やチャンスではなく自分への期待創出で決めたい」「自分で下した決断は良い結果を生む」「自分自身の身に起こることは自分で何とかできる」「努力すれば大抵のことは自分でできる」このように考えられれば、自分のやる気を自分で制御できる人間になれる、というのが山下先生のお話でした。

職場の雰囲気がギスギスしてやる気が出ないとか、自分の今の状況こそ「ハンモックの犬だ」、などと自分のやる気低下原因を外に求めず、「自分でできることは何か、自分への期待を創り出そう」と考えることができれば職場の雰囲気や上司・同僚との関係も少しずつ良くなっていくのではないでしょうか。

BIPROGYグループでは社員のモチベーション向上により、お客様や社会により貢献できると考えCSR活動を推進しています。