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IWMS/FMソリューション「ARCHIBUS」コラム

ファシリティマネジメントにおけるDXの目的とKPIとは?

2021年10月1日

2018年12月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。

では、第四の経営基盤と呼ばれるファシリティマネジメントにおけるDXの目的や手段、課題はどのようなものがあるでしょうか?

ファシリティマネジメントにおけるDXの目的

ファシリティマネジメントにおけるDXの目的

ファシリティマネジメントは、建物施設や設備などのファシリティにかかるコストを最適化し、ファシリティによる効果を最大化する経営活動と定義できます。そのため、企業はDXを企画・推進していくにあたり、経営活動そのものであるファシリティマネジメントに関する検討を無視できません。

では、ファシリティマネジメントにおけるDXの目的はどのように考えるとよいでしょうか?

企業によって目的はさまざまですが、共通して定めるべきことは目的達成のための定量的な指標(KPI)です。KPIは、DXによるゴールをプロジェクト内で共通認識を図るだけではなく、途中経過の測定を行う際にも活用します。

具体的には、単年度の施設運営費の削減目標や10カ年の工事・修繕計画のコスト平準化であればイメージしやすいでしょうか。こういった具体的な指標(KPI)を設けると、これまでは断片的に判断してきた改良プロジェクトや修繕積立費、資産の取得といったモノゴトを、総合的な判断軸のもとで意思決定することが可能となります。

ファシリティマネジメントにおけるDXの手段

ファシリティマネジメントにおけるDXの手段

経済産業省によるDXの定義でも分かる通り、DXの手段として代表的なのがデータとデジタルの活用です。

昨今ではビジネス環境の変化が激しい時代になり、新鮮な情報によるリアルタイムな経営判断が求められています。そういった環境下においては、データを自動的に集約し、あらかじめ定められた基準に従った分析を即座に行えることが重要です。つまり、ファシリティマネジメントの分野においても、情報のデジタル化やデータ活用は経営判断に大きな貢献をもたらすことが可能になります。

ファシリティマネジメントにおいては、固定資産の基礎データや業務活動で発生する作業実績や点検記録、コストといったさまざまな履歴データが蓄積されますが、こういったデータがアナログ情報として管理されていたり、散財して保管されていたりする場合には、IWMS*製品の導入による情報のデータ化および一元集約をDXの手段として選ぶことが可能です。
また、デジタル技術の進歩により、例えばこれまで人手による目視・音による異常の検知を行ってきた分野では、IoT/AI技術によってデータの収集を行えるまでになりました。DXで定める定量的な指標(KPI)の設定やモニタリングをする上で、これまで難しかったデータの収集・分析・管理の手法についても進歩する技術を活用していくと良いでしょう。

*IWMS:統合型ワークプレイス管理システム

ファシリティマネジメントにおけるDX推進の課題

DXを推進する上で最大の壁は、前述してきた目的の具体化の難しさです。企業におけるDXでは、トップダウンで抽象的な指示として落ちてきたり、部署横断での目標設定が求められたりと、多くの企業ではこれまでの風土では具体化が難しいことばかりです。

ファシリティマネジメントにおけるDX推進における課題とは?

DXを推進する範囲を決め、その上で必要な関係者による検討から意思決定までの仕組み作りや、各分野で定量的な指標(KPI)を明確に定めることが重要です。関係者内での合意がしっかり得られていない状態や、目標設定が抽象的に設定されている状況では、目指すゴールがブレてしまい、DXを実現する手段の判断を誤ってしまうことにつながります。
DXを推進する必要性や、自社にもたらすメリットについて、最初の段階で意思決定者から担当者までの認識合意を図るようにしましょう。データの集約やデジタル化といった手段を目的化することなく、ファシリティマネジメントという経営活動そのものにDXを適用する価値の最大化を目指しましょう。

*記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。