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V2Xを電力に活用。事例や課題をわかりやすく解説

2020年2月10日
V2Xを電力に活用。事例や課題をわかりやすく解説

電力の受け渡しはもはや発電所や建物だけの話ではない

再生可能エネルギーをはじめ、日本国内でも「エネルギー問題をどのように解決するか」という課題がよりいっそう注目されています。

ここ数年注目されているのがV2Xシステムです。V2Xシステムはすでに世界的にスタンダードなエネルギー施策として注目されており、エネルギー活用の流れを一気に変える突破口になり得るということでも話題になりつつあります。日本でも今後、V2Xが本格的に普及すれば、一般企業にとってもエネルギー問題を解決する糸口となり、ビジネスの面でも多くのメリットを受けられると言われています。

この記事では、V2Xの概要をはじめ、V2Xシステムを導入すると企業にとってどのようなメリットがあるのか、また、V2Xシステム導入の注意点について具体的にお伝えしていきます。

V2Xとは。V2Xの種類も説明

では具体的に、V2Xシステムとはどのような意味なのでしょうか。Ⅴ2とはつまり、「Vehicle to(自動車から~に対して)」という意味になり、Xは未知数という表現になります。V2Xというシステム自体は実際には存在せず、Xの部分が種類ごとに変わることによって「自動車がどのような媒体と接続するか」ということが表されます。

ここ数年、日本国内で注目されているV2Xシステムとしては、VtoH(住宅が対象)、VtoB(ビルが対象)、VtoG(電力網が対象)などがあり、それぞれに普及が進んでいます。

なお、ここでいう「自動車」とは、いわゆる電気自動車やプラグインハイブリッドカー、燃料電池など、蓄電池を内蔵しているタイプの自動車のことです。内部に蓄電池があれば、蓄えた電池を同じ仕様のV2Xシステムに供給することができ、エネルギーを無駄なく活用できるシステムを長期的に構築しやすくなります。

V2Xの活用方法

日本国内では現在、一般企業のビルや公共施設などがV2Xシステムの導入を積極的に検討しています。ここからは、世界レベルでのV2Xシステムの活用方法について詳しく見ていきましょう。

災害や停電時のバックアップ電源として

日本国内でV2Xシステムの認知度が本格的に上昇したのは、2011年に発生した東日本大震災でした。

未曽有の大災害と言われた東日本大震災では特に水や食糧、電力の不足が際立ち、「せっかく水や食糧があっても電力がないので調理ができない」という状況が多々発生しました。

また、被災地となったのが東北地方で、なおかつまだまだ寒い時期だったため、避難所でも防寒設備が必要となりましたが、そのための電力がなかなか復旧せず、多くの人がかなりの期間きびしい寒さにさらされた、という問題も起こったのです。

以上の教訓から、以降日本でもV2Xシステムの検討/開発が本格的に進み、大規模な災害時でも迅速なライフラインの供給を可能にするV2Xシステムの必要性があらためて認識されました。

消費ピーク時の補給として

これまでの日本では、電力供給網が比較的安定していたため、V2Xシステムの研究および開発についても優先順位が低かったことは否めません。

しかしながら、近年話題になっている電力自由化の影響から、真冬や真夏など、暖冷房の需要が一気に集中する時間帯には停電のリスクが生じるようになってきました。また、停電をさける目的以外にも、企業の節電目標達成や地球環境保護の観点から、ピーク時間帯には主要電力網からの供給を一定程度抑制する方策が実際にとられています。

以上の状況に鑑み、平常時にあらかじめ自動車(蓄電池)に電気をストックしておき、ピーク時間帯に使用するというV2Xシステムは非常に合理的なシステムであり、日本国内でも普及が急務とされています。

DRとして

V2Xシステムを詳しく理解するうえでおさえておきたい専門用語として、DRがあります。DRとは(デマンドレスポンス)の略であり、具体的な定義としては「卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、電力の需要を創出/抑制するよう電力の消費パターンを変化させる」ということになります。

電力は基本的に、ストックが効かない、という特徴があるため、需要が集中しているからといって生産量を極端に増やしたり、反対に需要があまりない時期に余剰分を長期間保管したりすることもできません。

過去には、電力自由化を本格化させた直後のイギリスで電力供給網が一時的に不安定になり、電力料金が急激に高騰したという実例もあります。

そのため、DRによって電力の需給バランスをある種人為的にコントロールしていく必要があるのです。

企業がV2X市場に参入

V2Xシステムはすでに日本国内でも本格導入が進められており、次世代を担うエネルギー活用プロセスとして注目されています。ここでは、日本国内での企業のV2Xシステムの導入例についてお伝えしていきます。

NTT西日本 × NTTスマイルエナジー × 日産自動車の事例

オフィスビルを対象に、太陽光発電システムで発電した電気について、電気自動車や定置型蓄電池を遠隔制御で充放電し、エネルギーコスト削減やCO2削減等の有効性を検証しています。
直近の取り組みでは、夏季のピークカット実証により、ピークとなる時間帯において電気自動車から放電することで、効果的なピークカットを実現しています。

東京電力エナジーパートナー × ダイヘンの事例

やがて来る大規模災害にそなえ、電気自動車による広範囲の電力供給システムの確立に向けて具体的なプロジェクトを推進しています。

東京電力エナジーパートナーはダイヘンとの協業により、急速充電ステーションや電力需要のピークカット、非常時の電源用途を一体的に提供するV2Xシステムを開発しています。

竹中工務店 × 日立製作所の事例

竹中工務店は、2014年より電気自動車の充放電管理システムの開発/実証に参画しています。

当該実証で得たノウハウを日立製作所へ提供することで、今後海外で展開予定のインフラやビルにV2Xシステムを本格導入すべく、協業を進めています。

V2Xの課題

エネルギー問題を抜本的に解決するとして注目されているV2Xシステムですが、まだまだ発展途上のシステムのため、課題もいくつか残されています。

必要台数の不足

日本国内の現状を見ると、V2Xシステムにしっかり対応しているEV車がまだまだ少ないのが現状です。

したがって、エリアをより広範囲に取り、複数のビルおよび地域間で本格的なV2X導入に取り組むことで、より安定的なDRの活用システムが構築できる可能性があります。

モビリティニーズとの対立

V2Xシステムは、「車を大きな蓄電池として活用する」というところにその眼目があります。しかしながら、車はあくまでも移動手段であり、車を日常的に使う人にとってはかえって不便になってしまう場合があります。

その意味でも、たとえば、走行中にも電力の一部を取り出してストックできるようにするなど、他の電力システムとの組み合わせが重要であると考えられています。

まとめ

V2Xシステムは日本ばかりでなく、世界的なエネルギー問題を解決するための糸口として電力事業者の間でも注目されています。まだまだ発展途上の技術であり、今後の課題もいくつかありますが、他の電力供給システムと組み合わせることによってさらなる発展と安定化が見込まれています。

*Enabilityは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。

*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。