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事例紹介

Microsoft Office 365、Intune活用により競争力強化のためのコミュニケーション基盤を構築

静岡ガス株式会社 様

2018年03月14日

Microsoft Office  365、Intune活用により競争力強化のためのコミュニケーション基盤を構築

静岡ガス様は、2016年の電力、そして2017年のガスの全面自由化に伴う競争力強化の必要性から、ICTによる生産性向上プロジェクトを始動。Office 365とMicrosoft Intuneによって、時間のムダを排除し、空間の隔たりを物ともしない社内コミュニケーションスキームを実現した。

SUMMARY

  • ICT活用による生産性の向上
    電力・ガス自由化に伴う競争力強化のため、生産性向上という明確な目的を持って導入
  • ロケーションフリーなコミュニケーション基盤
    競争力強化のために事業部制移行に対応。拠点横断のロケーションフリーなコミュニケーション基盤を確立
  • 現場判断の迅速化
    現場の状況をスピーディーかつリアルに伝えることで、意思決定スピードを迅速化

USER PROFILE

静岡ガス株式会社

設立:明治43年(1910年)4月16日
資本金:6,279百万円
本社所在地:静岡県静岡市駿河区八幡1-5-38
社員数:1,191名(2017年10月30日現在)
事業内容:1. ガスの製造、供給および販売/2. ガス機器の販売/3. ガスに関する工事の請負

本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

”大きな転換期を迎え、近くて頼れる地域No.1ソリューション企業を目指す”

静岡ガス株式会社 様

静岡ガス様は、静岡市をはじめ富士市や沼津市、三島市などを供給エリアとし、ガス販売量約14億m3、顧客数約32万戸の全国でも有数のガス供給会社だ。ガスの製造、供給、販売の他にガス機器販売などを行っている。明治43年(1910年)設立、1 0 0 年以上の歴史を持つ同社は、2016年の電力自由化、そして何よりも2017年4月の都市ガス全面自由化によって今、大きな転換期を迎えている。

静岡ガスブランドの電気「SHIZGASでんき」を引っ提げて、最適なエネルギー利用プランやお得な割引プランでエネルギー販売事業での攻勢をかけるだけではなく、これまで培ってきた地域との接点を生かし、お客さまのさまざまなお困りごとを解決する「地域No.1ソリューション企業」を目指している。24時間365日、家の各種トラブルに対応する駆けつけサービス「すぐいくね」や、ガス器具などの保証期間を延長する「備えあれば憂いなし」などをすでに提供した。

さまざまなお客さまのニーズに対応できるよう、2016年1月から事業部制に移行し、静岡ガス様は「ガス会社」から「地域No.1ソリューション企業」へ変貌を遂げようとしている、今まさにその真っ最中だ。

静岡ガス株式会社様 社屋

導入の背景と狙い ”競争力強化のための「ICT活用による生産性の向上」”

事業推進部 ICT企画担当


静岡ガス株式会社
事業推進部 ICT企画担当
尾崎健士氏

電力およびガスの全面自由化によってまず発生するのが、エネルギー業界内の「競争激化」。もちろん他業界からの新規参入も発生する。競争力強化のために静岡ガス様が実施された施策の1つが「ICT活用による生産性の向上」だ。「ガス自由化を迎えることでお客さまには多様な選択肢が与えられ、お客さまに選んでいただくためには、今までなかったものをどんどん作り出して多彩なサービスを展開していかなければなりません。それはある意味時間との勝負とも言えます。今までと同じやり方をしていてはなかなか成果が上がってきません」と言うのは事業推進部 ICT企画担当の尾崎健士氏だ。

「今後生き残っていくために、今のうちから企業の体質を改善し、生産性向上を図っておくことが必要だと考えています。これからは人口減少から人手不足社会が到来することも予見されていますので、その観点からも働き方改革への着手は必要なのではないでしょうか」

また事業部制に移行したことで、社内のコミュニケーション方法にも変化が生じた。「今までは、同一場所に存在する支社の中で指揮命令系統があり、同じロケーションの中ですので書類のやり取りも含めて意思決定がスムーズでした。しかし、事業部制に移行したことで拠点ごとの縦の組織ではなく、各ロケーションにまたがった横につながる組織になります。総務部門や営業部門、同じ営業といっても一般のお客さま向けから工業用や商業用までさまざまなセクションが横串組織になります。場所が離れるとコミュニケーションが問題になり情報共有などのスピードが遅くなったり、書面のやり取りが遅延する影響で意思決定のスピードが遅くなるという傾向がありました」と、組織面の課題を指摘するのは事業推進部 ICT企画担当 ICT企画担当チーフの小林史明氏だ。 

このような背景を受けて、静岡ガス様では「ICT活用による生産性の向上」を目的としたさまざまな社内向け施策を打ち出し実行。その中でも「コミュニケーション基盤」という位置づけで導入されたのがマイクロソフトの「Office 365」と統合デバイス管理「Microsoft Intune」だ。

選定理由 ”豊富な構築実績に基づいた的確なアドバイスと”驚くほど”の丁寧な対応”

基盤技術グループリーダー 兼 システムサービス グループリーダー

静岡ガス・システムソリューション株式会社
基盤技術グループリーダー 兼 システムサービス
グループリーダー
八木健太郎氏

Office 365とIntuneを選択した最も大きな理由は、やはりWindowsやOfficeソフトウェアなどのマイクロソフト製品との親和性の高さだ。小林氏は「当社のPCをはじめとする端末類は基本Windowsベースで動いています。Office 365と類似するクラウドサービスは他にもあり比較検討しましたが、マイクロソフト製品との親和性が高いことからOffice 365を選択しました」と言う。

また、社内外の主なコミュニケーション手段であるメールの利用環境をより良くしたいという思いも強かった。Office 365導入前はグループウェア付属のWebメールを利用していたが、「今回どうしてもやりたかったのは、外出時にどこからでももっと簡単にメールを使えるような環境を整備することでした。スマートフォンのアプリで直接操作できれば便利ですし、さらに新着メールがプッシュ型で通知されれば、急ぎの連絡もすぐその場で確認することができます」(小林氏)。このような環境をOffice 365の「Exchange」と「Outlook」によって実現できるのも魅力だった。

静岡ガス様がこのようなコミュニケーション基盤としてのOffice 365、Intuneの導入支援パートナーとして採択したのは日本ユニシスだ。

「実は今回の導入支援をいただく前、2016年に当社の3つの拠点すべての無線LAN化の作業をしてもらったのが日本ユニシスとの最初の取引になります。実際に現場で作業されたのはグループ会社さんでしたが、その際の仕事が本当に驚くほど丁寧。かと言って他社と比較してコストが高いわけでもありません。そのような経緯があって今回のOffice 365も日本ユニシスに提案をお願いしてみようか、ということになりました。もちろん同様のソリューションの導入実績が豊富だったので安心感も持てました」と話すのは、事業推進部 ICT企画担当 マネジャーの佐藤貴亮氏だ。

実際にシステム構築作業を行った静岡ガス・システムソリューション株式会社 基盤技術グループリーダー 兼システムサービスグループリーダーの八木健太郎氏は、「当社では同様のソリューションの構築・導入ノウハウがほとんどない状態でしたので、具体的かつ丁寧な支援をいただける企業様とお付き合いしたいという思いがありました。その点日本ユニシスの場合は、ディスカッションを重ねていく中で豊富な構築実績に基づいた的確なアドバイスや提案をいただけ、『この会社さんとならやれる!』と確信しました」と当時を振り返る。

導入効果 ”コミュニケーション基盤として意思決定の迅速化や組織全体の生産性向上に貢献”

2016年8月に導入を決定し要件定義を開始。2016年12月から日本ユニシスによる構築作業が始まり2017年3月にリリースした。わずか3ヶ月のスピード構築だ。さまざまな機能を有するOffice 365だが、現在本格的に活用しているのはExchangeとOutlookによるメール環境、およびSkypeによるテレビ会議機能などだ。また、Intuneは、個人所有のBYOD端末のセレクティブワイプのみに適用している。社用携帯はいざというときには完全にワイプしてしまえば良いので別のMDMを使用している。

導入後の効果はどうだろうか。ExchangeとOutlookによるメール環境の改善は、前述の小林氏の目論見以上の効果が出ているようだ。具体的に改善された主な事項は、「以前のWebメールシステムと比較してレスポンスが向上した」「モバイル端末でどこでも簡単にメールチェックが可能になった」「プッシュ通知で新着メールがすぐに確認できるようになった」、そして「1人あたりのメールボックスの容量が50倍にアップした」の4点だ。
「以前はユーザーの方から取りに行かなければ新着メールの確認もできなかったのですが、今は完全にプッシュ通知されます。急ぎの連絡を素早く気づけるようになったことは社内でも評価が高い」(小林氏)という。

事業推進部 ICT企画担当 ICT企画担当チーフ

静岡ガス株式会社
事業推進部 ICT企画担当
ICT企画担当チーフ
小林史明氏

さらに、単に“便利になった”以上の効果も表れているようだ。「以前なら出張から帰ってきたときには、一度会社に戻ってメールの処理をしておかないと翌日メールの対応だけで大変なことになっていました。現在は帰りの新幹線の中で全部チェックして、至急のものはその場で対応、その他は明日対応など、仕分けを済ませて直帰しています。隙間時間の有効活用ということになるのですが、『今まで使えなかった時間を使える』というのはとても大きいですね」と佐藤氏は感じている。

「例えば部下たちが送ってきてくれる用件に対しても、スピーディーに対応できることによって部下たちのストレスも恐らく減っているのでは、と思います。本来なら翌日まで意思決定を待ってから動かなければならなかったものが、メールさえ見られればすぐ5分後10分後に『いいよ、進めて!』と返信すれば動けますので」(佐藤氏)。さらに上司・部下間にかかわらず、誰かが出張や外出の際にも「○○さん、この件お願い!」と急ぎの用件はお互いに依頼し合うなど、コミュニケーションや協調が滞ることがなく、意思決定の迅速化に加えて組織全体の生産性も向上した。

コミュニケーション基盤としてのSkypeの役割も大きい。ICT活用による生産性の向上の取り組みとして、すべての会議室にWebカメラとマイク、そしてディスプレイを設置。ペーパーレスで遠隔地でもSkypeを使ってFace to Faceの会議をいつでも開催できる環境を整えた。「事業部制になり、横串組織になったことで例えば静岡の営業部門と沼津の営業部門で打ち合わせをしたり、海外にも数名赴任している者がいるので、そういったメンバーとの会議にはSkypeによる会議が当たり前になりました」と佐藤氏は言う。

Skypeの活用は会議だけではない。ガス会社の「現場」はいわば自社がガスを供給する地域全体であり、大変広域なエリアでさまざまな事案が発生する。例えば営業パーソンがお客さま先に伺った際、状況によってはガス工事が可能か否か、判断が難しい場合がある。以前はすべて写真に写して持ち帰り、上司や先輩の意見を仰いでいたが「今はタブレット端末を持って行ってSkypeで映しながら、直接『そっちじゃなくて、こっちの方に通せば大丈夫なんじゃないかな?』とリアルタイムで判断を仰ぐことができるようになった」(佐藤氏)ことで、顧客対応スピードも格段に向上した。

さまざまな緊急対応が必要な場合でも、まずは駆け付けてタブレットなどで撮影し、Skypeを通じて現場のリアルタイムの状況を遠隔地の本社や支社に送ることで、詳細な情報はもちろん緊急度合いや現場のニュアンスまで伝わってくる。現場で発生している重要な事案に対して、より正しい判断が即座に下せるようになるという。やはり動画による伝達は情報量が圧倒的に多く、遠隔地に居てもリアルに物事が伝わってくることは、緊急時には特に大きなメリットと言えるだろう。

相手先さえ許せば、もちろん社内だけではなく社外との会議もSkypeを使って行うことが可能だ。
「東京方面の会社様とお付き合いすることが多く、よくお越しいただいたり逆に出向いたりしていたのですが、Skypeを使うとお互いにメリットがあります」と言うのは小林氏だ。

コミュニケーション基盤 システム構成イメージ

コミュニケーション基盤 システム構成イメージ

今後の展望 “チームコラボレーションのさらなる強化”

「製品自体は十分に自分たちのイメージするコミュニケーション基盤になりうるだけのポテンシャルを持っていると思っています。むしろあとは私たちがそれを使い切れるかどうか、ということが課題ではないかと考えています」と佐藤氏は当面の課題をこのように捉えている。Skypeに関しても利活用という面ではまだ改善の余地があり、「せっかくの良いものを適切に使ってもらってスタッフの皆さんに納得してもらう」(佐藤氏)ことで一層社内に浸透させていく必要性を感じている。早々に、現場でさらに活用してもらえる仕組みや仕掛けを打ち出していく意向だ。

また、チームコラボレーションをさらに強化するツールとして、Office 365の「Teams」を新たに活用できないかと模索している。プロジェクトに途中から参加すると、メールだとこれまでのやり取りなどを通常追えないが、チャットのようにそのプロジェクトのグループに情報が投稿されていれば、途中から参加するメンバーも同じように情報共有ができる。

さらに、ビジネス版Facebookの位置づけに近い「Yammer」を使った社内広報のデジタル化も構想している。
「情報をデジタル化することで、タイムリーなイベント情報や有用な情報を発信したりするなど、情報をもっと『鮮度の良い状態』で届けることができるのではないか、という社内ニーズがあります。このような面でも、今後も一層日本ユニシスにお力添えいただけないかと思っています」と佐藤氏は言う。

もう一歩踏み込んだところでは、文書管理の仕組みとしてSharePointを活用できないかも検討している。社内のファイルサーバ上に電子データとして保管されている各種の情報を、どのように管理するのが最良なのかを業務面から検討したいという意向だ。「現代は欲しい情報は検索すればさっと出てくる時代。自分が欲しい情報をいかに素早く見つけ出してそれを利用することができるのか、ということにいずれはチャレンジしていかなければならないと思っています」と語るのは佐藤氏だ。それを実現するためのツールとしてSharePointが候補の1つとなっている。

“コミュニケーション基盤としてのOffice 365”という枠を超えたところでも、日本ユニシスのノウハウを活用できないか、の検討も始めつつある。例えばデジタルマーケティングの領域や静岡ガス様が提供するお客さま向けサービス用のシステムなど、必ずしも社内の業務を支えるインフラ的な役割のソリューションではなく、ビジネスそのものをグロースする領域がそのターゲットの候補だ。「今回はシステムの提供でしたが、アライアンスを組みながら一緒にどのようなビジネスができるか、ということを検討できる可能性を持った企業だと捉えています。そういう意味でもさまざまな領域で今後も日本ユニシスとお付き合いを継続していきたいと思っています」と佐藤氏は締めくくった。

静岡ガス株式会社
事業推進部 ICT企画担当
マネジャー
佐藤貴亮氏

Microsoft Office 365®エンタープライズサービス

「Office 365」はマイクロソフト社が提供するオフィス向けクラウドサービスの総称だ。「Exchange Online」「Skype for Business Online」「SharePoint Online」「Office 365 ProPlus」など多くのサービスで構成されており、電子メールや予定表、情報共有サイト、インスタントメッセージング、音声・Web会議、内外線電話などの機能が“いつでも・どこでも”利用可能になる。日本ユニシスの「Office 365®エンタープライズサービス」は、これまで培ってきたオンプレミスのExchange Server、SharePoint Server、Skypefor Business Serverの構築ノウハウや自社でのOffice 365導入経験を生かして、お客さまの環境や要望に応じた導入支援ができるのが特徴だ。

*Microsoft、Office 365、SharePoint 、Skype、Microsoft Intune、Windows、Outlook,、Yammerは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。