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周辺面群との接続機能付きメッシュ面創成コマンドの開発

清水保弘,関戸勝己

メッシュ面創成コマンドはCADCEUSの曲面機能の一つであり,縦横の拘束線群間を内挿して自由曲面を創成する機能である.筆者らは,メッシュ面創成コマンドで周辺面群と接平面連続(G1連続)に接続する機能を新しく開発した. 曲面補間の基礎技術には,Gordon面の手法を用いた.適用に際し,理論的に難解であったGordon面を一般スプライン補間に関する石田理論に基づき平易に定式化した.さらにGordon面の前提を満たすために,拘束線群を統一パラメタで整合する際の新手法,および,ツイスト整合への松木—木村理論の適用を工夫した. これらの技術により,周辺面群と滑らかに接続する曲面の大域補間が可能となった.また,その結果,曲面の品質を向上させることにも成功した.

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クラスを伴って移動するオブジェクトのセキュリティの実現

吉田泰光,塚本享治

オブジェクト指向技術を使って,インターネットのようなネットワーク環境での分散システムの開発と稼働を容易にするための共通の環境を実現したシステムがオブジェクト指向分散環境OZである. OZでは,分散システム間でオブジェクトを移動することができ,更に,そのオブジェクトの稼働に必要なクラスが配送される.しかし,配送されてきたクラスは未知であり,その実行にはセキュリティ上の危険が伴う. この問題を解決するため,移動してきたオブジェクトとそうでないオブジェクトにそれぞれ赤と緑の色を付けて区別し,その色によってアクセス制御を行う.これによって,セキュリティを確保しながら配送されてきた未知のクラスを安全に実行できる.本稿では,この仕組みとJavaによる実現について述べる.

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RSA公開鍵暗号方式の実現

浦上浩一

インターネットの普及に伴って電子商取引が拡大しつつあるが,この状況下における情報の機密確保,改ざん防止の方法として公開鍵暗号方式が注目を集めている.公開鍵暗号方式の中でもっともよく使用されているRSA暗号方式を実現するにあたり,次のような工夫,検討を行った. 1) RSA暗号方式の鍵(かぎ)生成の際に同じ素数を生成しない工夫 ハードデイスクのアクセス時間のばらつきを利用したランダムノイズを導入することにより,疑似乱数発生器に与える種の系列の再現性を著しく低下させた.また,いくつかの実験によってその効果を検証した. 2) 鍵生成の際に必要な素数判定方式の検討 実時間での素数判定が必要なため確率的素数判定方式の二方式を取り上げ比較した.また,ラビン素数判定方式を用いることによって,素数の誤判定確率を実用上問題のないレベルにまで下げることができた. 3) 暗号化および復号処理の高速化 標準的な高速アルゴリズムを用いて,暗号化および復号処理の高速化を行った.

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DCAルーティング機能の改善 ─Distance Vectorルーティング・アルゴリズムをブロードキャスト・ネットワークに適用した際の問題点とその解決策

小西 宏

大規模ネットワーク障害時に通信経路の復旧が遅延する現象を,ルーティング・アルゴリズムの性質とネットワークトポロジの関係から論ずる.FDDI幹線などのバス・メディアで構成されたブロードキャスト・ネットワークにおいては,バースト的に増大する経路情報数が遅延の原因であるが,それはノードの密結合構造に関係している.この構造においてはいかなるルーティング手法も根本的な軽減策にならないため,構造認識の変革を必要とすることを導く.  そしてこの隣接性は実際のトポロジとは異なりマルチキャスト機能により与えられている仮想的なものであることから,ブロードキャスト・ネットワーク上の各中継ノードが隣接関係にある全てのノードの集合を一個の仮想ノードに対してスター状に配置されたものとして捉え直し,隣接ノードとの関係を仮想ノードとの関係に置換してルーティングを行なえば,大幅な経路情報と検索負荷の削減が可能になることを提示する.

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知識時代のマネジメント

柳田和幸

最近,経済,社会の複雑性が増し価値観も変化する中で,知識が重要な経営資源になってきた.知識は情報の共有だけでなく,むしろ人間の行動や思索を通して産まれる.ナレッジマネジメントの本質は,能力ある人々を上手くマネージメントすることにあり,それは,彼らに信頼と責任を与えることが重要だということを意味する.そして,権限委譲(エンパワーメント)だけでなく,逆委任(サブシディアリティ)という考え方が知識時代のマネジメントを変えて行く

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感性によるソフトウェアのユーザビリティの評価

田垣内博一

本稿では,ソフトウェアのユーザビリティの評価方法として,ソフトウェアを使用している時のユーザの感性を利用した評価方法を提案している.この評価方法では,従来から存在しているユーザへのアンケートやインタビューなどによる評価方法や専門家/評価者/開発者による評価方法の欠点を補うものである. 本稿では,脳波データから感性を導き出す感性スペクトル解析法について述べるとともに,ユーザの脳波データからユーザビリティの評価を行うための感性を取り出す誘発実験の手法について述べる.さらに,誘発実験の手法の有効性を検証するために実施した評価実験についても考察する.この結果,ユーザが記憶していなかった使いづらい個所を脳波から作成したユーザの使いやすさに関する感性で発見することができた.

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オントロジーを利用した知識の共有/再利用

伊藤英毅

近年のインターネットを中心とした情報環境は新しい情報メディアや情報活動の多様化を生み出した.利用者は目的に応じた情報の収集,選択,統合化を行う必要がある.そこで,知識を利用した情報処理技術,特に知識共有/再利用が問題となる.本稿ではオントロジーを中心に現在,知識の共有と再利用を中心とした知的情報処理の問題に関して報告する.オントロジーは知識処理において有効な基盤を提供するものであり,知識共有/再利用の問題への貢献が期待されている.本稿では,オントロジーの概説とこれまで行なわれてきた研究や事例の紹介及び筆者がオントロジーの統合利用を目的とし実施している複数概念体系間の関連発見に関する研究の紹介を通してオントロジーの知識共有/再利用の問題への可能性や有効性について報告する.

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マルチメディア・モンタージュ ─対位法に基づいた映像合成に関する研究

鈴木良太郎

本稿では,イメージに基づいたコミュニケーションの可能性を広げるための枠組みとして,映像や音声によるマルチメディア素材を時空間上で構造的に合成する「マルチメディア・モンタージュ(Multimedia Montage)」を提案する.本研究における映像合成手法の特徴は,その構成手法として西洋古典音楽における対位法を導入し,またその構造をスクリプト言語を用いて記述する点にある.対位法に基づいた合成映像の事例の作成,映像合成用プロトタイプシステムの開発,プロトタイプにおける映像合成実験を通して,本合成手法がマルチメディアを用いたイメージ表現の手法として有効である事を確認する事ができた,また映像合成実験における同期認識の観察結果に基づき,映像から抽出したリズム情報を利用して映像の同期合成を行う研究“Image Wave”を今年度から開始した.

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