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いまさら聞けないサステナブル調達用語:SRM コラム

2023年6月23日

1.サステナブル調達用語の解説

これまでもCSR調達やグリーン調達など、環境や社会を意識した取り組みがなされてきました。各企業の調達部門はCSR調達方針を策定し、それをホームページ上などで公開して取引するサプライヤーに協力を求めてきました。現在はSDGsやESGなどの言葉が身近になってきたことから「持続可能性」を意識した行動が強く求められるようになりました。これに伴い「CSR調達」が「サステナブル調達」という言葉に置き換わってきています。はじめに「サステナブル調達」に関連する各キーワードの意味や違いを整理してみたいと思います。

CSR調達とは

CSRは企業の経済活動において社会的責任を果たすことが目的です。人権や環境などサステナビリティの考え方に加え、法令遵守や社会・地域貢献も含まれます。この企業活動の考え方に基づき調達方針を定めて調達活動することがCSR調達です。サステナブル調達より法令遵守や社会・地域貢献が含まれる分だけやや広い考え方とも言えますが、あくまでも企業自身が経済活動を行う際にリスクを回避するため、といった企業主体の考え方であることから、徐々に「サステナブル調達」という言葉に置き換わってきています。

サステナブル調達とは

サステナブルは持続可能なという意味の形容詞です。持続可能性という名詞の場合はサステナビリティとなります。では何を持続させるのかというと、「地球環境を維持して豊かな社会環境」を持続させることを指します。CSRが「企業にとって」という企業活動主体の考え方であることに対し、「世の中全体・世界全体にとって」という考え方です。世界や未来が主役であり、地球環境を維持して豊かな社会環境を持続させる観点で企業が行動指針を決め、調達部門は調達活動において持続可能性を考慮した選定・評価を行うことがサステナブル調達です。

SDGsとは

サステナブルな社会を実現するために2030年までにより良い世界を目指す国際目標であり、具体的な17の目標が示されています。この17種類のカラフルなアイコンは良く目にします。国連サミットで採択されたものですので世界全体で目指すものです。サステナブルな社会というと環境ばかりに目が行きがちですが、貧困・飢餓・健康・教育・ジェンダー平等・水とトイレなど発展途上国を意識した目標も含まれているところが国連主導で作られた世界全体での目標ということがわかります。環境を意識した目標は7・12・13・14あたりでしょうか。サステナビリティを実現するために定めた世界共通の目標がSDGsです。

ESGとは

環境・社会・ガバナンスの3つの頭文字を組み合わせた言葉がESGです。SDGsもESGもどちらもサステナビリティ(持続可能性)に関係する言葉ですが、ESGは企業を評価する投資視点の言葉です。ESG投資とは財務面だけでなく環境・社会・ガバナンスといったサステナビリティの観点で企業を分析/評価して投資を行う手法であり、ESG経営とはESGの観点で投資家から評価されることを念頭において収益をあげるだけでなく、健全で持続可能な発展を目指す経営手法のことです。

カーボンニュートラル・脱炭素とは

温室効果ガスの排出量を減らし、森林による吸収を最大化し、排出と吸収でプラスマイナス0にすることを目指す活動です。温室効果ガスとは二酸化炭素以外にもメタンや一酸化二窒素、代替フロン類があります。代替フロンはオゾン層を破壊する特定フロンに代わるものとして転換が進められましたが、二酸化炭素より数十倍から数万倍の温室効果があることがわかり抑制が喫緊の課題となっております。二酸化炭素を始めとする温室効果ガスを最小化する企業活動が求められています。

ISO 20400とは

2017年にできた新規格でISOと言っても認証を得るものではなく、「持続可能な調達に関するガイダンス(手引書)」の位置づけです。企業や団体が環境・人権・倫理・遵法などの観点で将来にわたり持続可能な調達活動を行うための手引書を提示しています。

グリーン調達とは

環境に配慮した調達という点ではサステナブル調達と同じですが、温暖化がきっかけと言うより、重金属4物質(鉛・水銀・六価クロム・カドミウム)の使用禁止や、含有化学物質(REACH/RoHS)調査の取り組みが注目されていた際に謳われた言葉です。

安定調達

災害リスク、カントリーリスクなどを考慮し、自社製品を市場に安定供給するため、生産に支障を来さないよう安定的に調達をする活動です。BCPのためのサプライチェーン把握や、在庫保有、生産拠点の分散、代替品の把握などの対策を行います。

2.サステナブル調達のためのサプライヤーセルフアセスメント

「サステナブル調達」の進め方として、一般的には以下のステップで推進されます。

1.方針策定⇒2.体制構築⇒3.ガイドライン作成⇒4.サプライヤー調査・評価⇒5.改善・選定⇒6.モニタリング

上記の図の「ガイドライン作成」では、ISO20400や国連グローバル・コンパクト、RBAなどを基に作成を行います。
例えば、以下の項目になります。

  • コーポレートガバナンス、法令遵守
  • 人権(人権尊重、強制労働、児童労働の禁止)
  • 労働慣行
  • 環境(グリーン調達、温暖化対策)
  • 公正、公平な取引
  • 品質、安全性
  • 情報セキュリティ

ガイドライン作成後はサプライヤーにEXCELで作った回答フォーマットを電子メールで送付し、回収したEXCELを人海戦術で行って集計、評価するデジタル化とは程遠いやり方で実施しているケースが散見されます。非常に業務負荷が高く、⑤の改善活動まで手が回らないという声も多く聞きます。これらの作業もDX化することでサプライヤーの調査から評価までを迅速に行い、本来取り組むべき改善・選定に注力できます。

eBuyerBrainsはサプライヤー評価機能をリリースし、調達部門のサステナブル調達の取り組みをDX化で支援しております。ぜひご検討ください。

担当:インダストリーサービス第四事業部 村高浩司 大金育恵