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Foresight in sight

ユニシス技報

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2015年9月発刊 Vol.35 No.2 通巻125号
「未来社会に向けた研究開発」

日本ユニシスグループは、お客さまの潜在ニーズを刺激していけるように、最新の技術を提供し続けることが重要だと考えています。このため日本ユニシスは、2006年にR&D拠点として総合技術研究所を組織化し、さまざまな技術領域において、描いた未来像を実現するために、いま研究開発すべきテーマに取り組んでいます。またユニアデックスは、未来予測および新技術検証やビジネス共創活動を担う未来サービス研究所を2013年に設立しました。本特集号では、両研究所が関わるさまざまな研究の中から、中長期的な視点に立った先端技術、および社会課題の解決を目指した実践的な研究を紹介します。

デジタルテクノロジー企業が創る未来社会 小椋 則樹

ITを駆使したグローバル企業はこれまでにはなかった圧倒的なスピードと想定できないビッグアイデアにより成長を続けている。まるで未来が見えていたかのごとく活動しているのである。来るべき未来を予測し、その目標を実現するシナリオを描き、その目標に向かい計画を実行している。そして未開の社会にいち早く到達することでその新たな社会を構築しているのである。
ここでは我々デジタルビジネスを支える企業が、その目指すべき未来社会において最適な技術を駆使し必要とされるITサービスを提供することで、未来社会においても貢献していくことを示し、いくつかの未来予測とITによる実現性について記した。最後に、持続可能な未来社会を作るための考察を行った。

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未来社会を支える仕組みを実現するための研究開発 羽田 昭裕

自動化と自律化を、描いた未来社会像を実現するための核と捉えて、取り組む必要のあるコンピューティング技術について述べる。最初のコンピュータであるENIACで実現されたのは、数学者の思考の自動化であった。これを出発点として、産業革命から始まった機械の自動化は洗練され、自律化し、貨幣に関わる処理、組織活動などが自動化された。現在は、管理された組織や貨幣に関する処理の自律化、それ以外の人工物の自動化が進んでいる。
自動化と自律化の歴史を踏まえると、近い将来に必要となるのは、自動化し、自律化した人工物に対してより自律性を求められる人々を助けるコンピューティング技術であり、思考の自動化はデザイン思考やシステム思考の結果が対象となろう。この課題を考慮すると、人間、人工物、サービス、環境などを記述する道具が重要となる。一つの事例と二つの技術(メレオロジー、形式概念分析)を取り上げて、道具のありかたを示した。

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OpenStack環境におけるブルー・グリーン・デプロイメントの実現 佐々木 智一,吉本 昌平

ビジネスにスピードが求められる昨今、DevOpsといったシステム開発におけるスピードを実現する考え方が注目されている。しかし、システム運用の現場では、手順書と手作業によって日々の業務が行われ、スピードとは逆行しているのが普通である。スピードを実現するために運用は自動化されるべきである。
本稿ではアプリケーションのリリースにおけるブルー・グリーン・デプロイメントという自動化手法に着目し、OpenStackのオーケストレーション機能であるHeatやLBaaSなどを利用して独自に開発した。シミュレーションの結果、開発手法を適用したシステムでの更新作業時間は、従来システムと較べて8分の1に短縮できることが分かった。

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コモンセンス知識ベースを用いた推論の性能評価 中原 和洋

コモンセンス知識ベースのConceptNet、推論手法のAnalogySpaceやSpectralAssociationが開発され、コモンセンスを対象とした人工知能の研究基盤が整いつつある。筆者はこれまで日本におけるコモンセンス知識収集と知識ベース構築活動を行ってきた。本論では、上述の知識ベースとAnalogySpaceを用いた概念間類似度推定およびSpectralAssociationを用いた概念間関連度推定の性能評価手法の提案と評価結果を報告する。概念間類似度推定性能の評価として、市販の3〜4歳児向け幼児教材の仲間外れ概念探し問題を利用する手法を提案する。また、概念間関連度推定性能の評価として、日本人の連想語調査結果を利用する手法を提案する。両提案評価手法により、コモンセンス知識収集手法や知識量に応じた推論性能の把握が可能となった。また、両評価において、コモンセンス推論を用いた手法は比較手法に対し良好な性能を示した。

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実環境3Dデータ処理の実現に向けて 武井 宏将

デバイス技術の進展により、実環境の空間情報をデジタルデータとして取得することが可能になった。このデータを実環境3Dデータと呼ぶこととする。日本ユニシスは、実環境3Dデータを処理するための技術研究を行っている。
実環境3Dデータは、実環境をセンシングするのみで取得できるため、データ取得コストは安価である。一方、実環境3Dデータは、内部に様々な要素が混在しており、それらを分離する情報は持たない。そのため、実環境3Dデータを処理するためには、データの中から意味のあるまとまりを取得するコンテンツ認識技術を確立する必要がある。
実環境をセンシングするデバイスの特徴の一つは二次元画像と三次元点群の両方が取得できることである。そこで我々は、実環境3Dデータ処理におけるコンテンツ認識技術確立のために、二次元画像と三次元点群の両方を利用したアプローチを検証している。本稿において、二次元画像と三次元点群のデータ特性を基に、これらのデータを組み合わせた処理の有効性について考察する。また、両方のデータを組み合わせる有効性について研究事例を挙げて紹介する。
本研究により開発した技術は、IoTやIndustry4.0において、空間センシングデータを処理するための技術として、重要な役割を果たすと考えている。

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意匠データに対する二次非一様B-spline曲線によるフィッティング 土江 庄一

本稿では、平面曲線で表される意匠データに対し、曲率連続(G2)の二次B-spline曲線によるフィッティング法を提案する。G2条件の実現には、非一様なノットベクトルを使用する。これにより、通常使用されるノットベクトルに対して、冗長なセグメントの発生も抑止でき、より少ないセグメント数でG2接続の曲線が生成できる。提案手法では、B-spline曲線の制御点とノットベクトルを別々に計算することにより、複雑な非線形最適化計算が回避できる。提案手法のプロトタイプによる実験を行い、ノイズを含む意匠データに対しても高品質な曲線が生成できることを検証する。

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モデル検査による仕様とソースコードの不一致発見 青木 善貴

システム開発では不十分な要件定義や実装時のミス・誤解などにより人手では原因の特定が困難な不具合が発生する。不具合の解消にはまず再現確認を行うことが前提となるため、再現確認ができないと不具合の原因の特定が困難になる場合が多い。これは目に見える不具合の現象と原因が乖離していて直感的に原因を想定することが難しいために発生する。こうした不具合は成果物の仕様についての妥当性・整合性を漏れなく検査することにより発見できると考えられる。
システムが取りうる様々な状態を検証するモデル検査が近年注目されている。モデル検査はシステムの振舞いがある性質を満たすか否かを網羅的な探索により自動的に検証する方法であるが、適用にはモデル検査の技術・知識を習得する必要があるためシステム開発への適用は進んでいない。本稿では業務ドメインの知識や開発業務で一般的に使用される技術を利用してモデル検査を行う手法を提案する。提案手法は、成果物の品質の向上や再現困難な不具合の原因の特定に効果が見込める。

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人と協調して行動するロボットの知能 山田 茂雄

常に変化し複雑かつ不確実な環境の中で人のように知的に行動する──常識的な思考により世界を認識し、ゴールを描き、それに向かって人と協調して行動する──ロボットの知能はどのようなものか。本論は、それを人が持つ知能の精神的な側面で捉え、課題として考えるべき重要な知的能力を挙げ、先行研究を足掛かりにしてそれらを掘り下げて考察する。最後にロボットをとりまく現実の世界とロボットの内面世界との境界を橋渡しするための個別技術について簡単にふれる。

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