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間接オークション制度とは | 導入後の連系線ルールの変更点について解説

間接オークション制度とは | 導入後の連系線ルールの変更点について解説

2018年より開始した間接オークション制度

電力広域的運営推進機関(OCCTO)により2018年10月1日より連系線の割当は「先着優先ルール」から「間接オークション制度」へと変更されました。間接オークション制度の導入に伴い、変更されたルールや、制度のポイント、経過措置についてわかりやすく解説していきます。

日本の送電設備事情

日本では東京電力などを始めとする、旧一般電気事業者10社により供給区域(エリア)ごとに送配電線網が整備されてきました。国内の最大需要電力は2018年8月時点で1億5,906万kWあります。
またエリアをまたいで全国に電力供給を可能とするために、連系線が整備されています。しかし、連系線の供給容量には設備上の限界があります。例えば東京・東北間では1,262万kW、関西・中部間では1,666kWと決められています。

間接オークションを導入する目的

2016年4月の電力自由化に伴い、発電と小売電気事業の全面自由化が先行して行われました。ただし、送配電網については旧一般電気事業者が設備投資や維持管理を独占し、経済産業省の規制のもとに行っています。現状ではエリアごとに旧一般電気事業者が管理した方がコストが小さくなるとされていますが、2020年には発送電分離を目指して国や電力事業者も動いています。

この規制緩和の流れの中で、送配電網における地域間の連系線の利用に関しては、これまで登録事業者が利用計画を提出した順番で送電を割当てる「先着優先ルール」が利用されてきました。そのせいで、小売単価の安い経済的に優位性のある新規電源が現れても、連系線の容量に空きがなければ利用できませんでした。また、2016年より連系線の利用可能事業者による電源の差し替えが容易になったことから、連系線を利用できない事業者と比較して競争上とても有利になっている問題も生じていました。

より安い電源から動かす「広域メリットオーダー」の妨げとなる事態を解消するために、入札価格の安い順に送電を可能にする「間接オークション」が導入されました。間接オークションの導入目的は、公平な環境のもとで連系線をより効率的に利用し、広域メリットオーダーの達成を促すことです。

間接オークション制度とは

2018年10月1日より新しく導入された間接オークション制度とは、具体的にどのような制度でしょうか?内容について詳しくみていきましょう。
間接オークション制度とは
画像引用:経済産業省(https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/implicit_auction/pdf/summary.pdf)

間接オークション導入前と導入後の仕組み

先着優先ルールでは、まずは連系線の利用計画を提出した順に送電容量を割り当てをします。さらに前日10時の段階でまだ容量に空きがあれば、スポット市場によって取引が行われてきました。

間接オークション導入後は、全ての連系線利用においてエネルギー市場を介して行います。日本においては日本卸電力取引所(JEPX)が市場となり、原則、全ての連系線容量(マージン分は除く)を前日スポット取引市場で割当てることになります。また、前日スポット取引約定後余った空き容量は1時間前取引市場を介して割当てる仕組みとなります。

連系線管理において、これまでの利用計画はなくなり、容量登録は前日スポット取引以降に実施されます。
間接オークション導入前と導入後の仕組み
画像引用:電力広域的運営推進機関(https://www.occto.or.jp/renkeisenriyou/oshirase/2018/180914_margin_henkou.html)

間接オークション導入前と導入後のルール変更点

間接オークション導入前後で変更されたルールについて詳しくみていきましょう。

連系線利用についての変更点

間接オークションが開始され、連系線は全てJEPXによるスポット取引市場によって割り当てられ、単価の安い事業者から順にメリットオーダーに沿って連系線が利用できるようになりました。公平な競争原理のもとでより安い電気が送電されることにより、連系線の効率的な利用を目指します。

地域間連系線の管理方法の見直しについて

 
主な変更内容
  • 連系線の利用計画はなくなり、容量登録は前日スポット取 引以降に実施
  • 利用計画に係る内容は削除
  • 契約認定、変更賦課金による空おさえ抑制の仕組みは不要になる
  • 空容量の算出断面に翌々日の断面を追加
  • 長期断面に設定している「電力市場 取引の環境整備のため」のマージンは不要になる
前述の通り連系線利用における利用計画の規定に関する内容は削除されています。先着優先による容量登録がなくなることから、契約認定、変更賦課金のよる空おさえ抑制の仕組みも削除。

計画潮流の管理は前日スポット取引または1時間前取引において約定した取引に基づいて容量を割当て、計画潮流として管理するよう見直されています。長期・年間・月間・週間・翌日以降の運用容量、空き容量の算出断面には、翌々日の断面を追加し明確化を行います。また、30分以降の運用容量の算出断面を翌々日以降に見直します。

長期断面に設定されている「電力市場整備のため」のマージンは不要となるため、マージンの定義より削除されました。

マージンの設定断面の見直しについて

主な変更内容
  • 翌々日断面において実需給断面を考慮したマージンが設定されていればよい
  • 「先着優先」で実施していたマージン減少は不要となり、マージン設定の断面は「長期・年間・翌々日」とする
マージン使用および緊急時の連系線の使用は、一般送配電事業以外の電気供給事業者間の受給契約に基づく使用がなくなり不要となります。マージンは翌々日断面において実需給断面を考慮した容量が設定されていればよいことになります。よってマージン設定の断面は「長期・年間・翌々日」に見直されました。

出力維持等が必要な電源等の承認について

主な変更内容
  • 出力維持等が必要な電源等を承認する仕組みを設ける
 
長期固定電源である原子力・水力(揚力式を除く)・地熱電源については、発電し続ける担保が必要なことから、他電源よりも優先的に割り当てを約定させる仕組となります。これは出力維持が必要な電源であることを承認して優先的に先行約定するもので、成り行き約定以外の約定と比較して落札価格が優遇されるものではありません。

また、連系線の中には、特定電源の出力を直ちに制限する装置を電源側に設置して運転しているものがあります。それを前提に運用容量を設定されている電源については、長期固定電源と同様の扱いとなります。ただし、発電設備の不具合や系統故障による減少変更や、発電計画からの増加分と同量以上の運用容量を増加変更することはできません。

さらに「電気事業法第24条1項に定める区域外供給の場合」および「作業期間に限定して、発電機を一時的に他の供給区域に送電させる必要がある場合」にも、一般配送電事業者間で対応が必要な措置として他電源よりも優先して約定します。

経過措置について

主な変更内容
  • 2016年度長期利用計画策定分を対象に経過措置を設ける
先着優先ルールで容量登録されている連系線利用計画のうち、2016年度(平成28年度)長期利用計画分については、経過措置が設けられています。経過措置の期間は2018年度〜2025年度までの間で、原則長期連系線利用計画を登録していた小売電気事業者です。ただし、送電者と小売電気事業者で合意が得られる場合は、送電者に経過措置を与えることも可能です。

精算方式はオブリゲーション方式を採用。転売はできません。対象事業者は、経過措置対象日前々日までに、経過措置計画を提出する必要があります。計画を更新する場合は、減少更新のみ認められます。
受電者に求められることは、約定量が計画値未満の場合、JEPXから事業者に補填する側の清算を行うことはできません。送電者側の入札量が正当な理由なく計画値未満の場合、経過措置を停止するなど適宜監視が実施されます。

混雑処理について

主な変更内容
  • 前日スポット取引および1時間前取引は、全て同順位として扱い按分抑制することとして取扱うこととして整理されたことから抑制順位の見直し
間接オークション導入により、スポット市場での約定以前は混雑処理は不要になりました。しかし、スポット市場約定後に万が一、連系線などにおいて故障などが発生した場合、運用容量が小さくなってしまったら、混雑処理が必要になると考えられています。
混雑処理については、先着優先ルールと同様に前日スポット市場約定分は同順位として扱い、按分抑制の処理を行う方向で検討されています。

需給状況の監視に関するルール変更

間接オークション導入により、利用計画がなくなるため需給状況の関しに関するルールも変更になりました。需給状況監視などの変更点についてみていきましょう。

需給監視等のため計画等取得内容の見直し

主な変更内容
  • 週間計画以前は、供給区域を跨ぐ取引予定分ごとの計画値の提出
これまで一般送配電事業者は、発電販売計画・需要調達計画・連系線利用計画をもとに、連系線潮流を想定し、供給域の供給力や需給状況の確認、作業停止調整を実施してきました。
しかし、連系線利用ルールが間接オークションに変更されたことで、連系線利用計画がなくなりました。各種調整や確認をする上で、連系線潮流を想定するための別の計画を取得する必要が出ています。

これに対して、現行の発電販売計画と需要調達計画を活用して、週間計画以前は供給区域をまたぐ取引予定分ごとの計画地を明確化することが求められています。

計画策定プロセスに関するルール変更

間接オークション導入により、連系線の増強の計画策定プロセスが変更されています。変更内容について詳しくみていきましょう。

計画策定プロセスの検討開始要件の変更

主な変更内容
  • OCCTOによる広域的取引の環境整備に関する検討開始要件のうち、長期計画および年間計画における空容量による開始要件を削除、長期計画および年間計画における空容量による開始要件を削除
OCCTOでは、連系線の利用計画において、空容量が長期で10% 又は年間で5%を下回るような状況が起きた場合、OCCTOは連系線増強の計画策定プロセスを開始することが規定されています。

間接オークション導入後は連系線利用登録がなくなるため、このような事象は生じません。そのためOCCTOによる広域的取引の環境整備に関する検討開始要件から、長期と年間計画における空き容量による検討開始要件が削除されています。

間接オークション導入により、各連系線においてどれくらいの混雑費用が発生するかが明らかになるので、その段階で実績を評価した上で改めて検討開始要件を定める方向性で検討されています。

取引所ルール改定について

日本卸電力取引所(JEPX)は連系線割り当て市場として国内で唯一機能する取引所です。間接オークション導入のより取引所ルールが改定されました。改定された内容について詳しくみていきましょう。
主な変更内容
  • 経過措置給付金の給付
  • 承認電源などの入札方法
  • 特別取引会員の売買
  • 受渡契約の売買の別
  • スポット市場の取引単位変更(1MW⇒0.1MW)
  • 京都メカニズムクレジット掲示板売買の終了
間接オークションの導入により、連系線はJEPXの市場を介してのみ利用することができます。エリアをまたいだ電力供給事業者は、必ずJEPXの市場を通すことになります。これまで取引会員ではなかった事業者は、会員登録から行う必要があります。ただし、取引会員に委託すことでエリア間の電力取引を行うことは可能です。

その他主な改正には、経過措置計画に基づく対象エリア間の値差額の給付や、承認電源の入札方法の用意、特別取引会員(一般送配電事業者)のFIT売電以外の取引の追加、売渡契約の登録内容の変更、スポット市場の取引単位(1MW⇒0.1MW)の変更、京都メカニズムクレジット掲示板売買の終了などがあげられます。

経過措置給付金について

間接オークション導入において、経過措置を申請した事業者は、経過措置計画の発電側エリアと受電側エリアとの間で、市場分断により値差が生じた場合には、その差額を経過措置計画受電側事業者に給付します。

経過措置の差額給付に当っては、経過措置計画値に対して事業者の売り買いエリアでの入札行動が適切に行われているかが検証されます。
また「経過措置支給額」は、年度ごとに経過措置が正しく活用されているかを周知する目的で、事業者別にJEPXのホームページで公表されます。

経過措置支給額はスポット取引の決済と合わせて日々決済され、消費税相当額が付加されます。経過措置支給対象者は、経過措置計画の買い手である受電側小売事業者です。エリアごとにJEPXに登録された受渡契約コードと経過措置計画の受電側コードが合致しないと経過措置支給は行われません。

経過措置ユーザーの経過措置給付金について

各エリア計において、経過措置対象量に対して経過措置ユーザーによる買い約定量が多ければ、経過措置給付金の支給が実施されます。反対に買い約定量が少ない場合は支給されません。

受電側が安くなる経過措置がマイナスになる場合は支払いが必要です。

承認電源用ユーザーの用意について

承認電源用ユーザーとは、スポット市場において、価格を指定しないで、売り量のみを指定して入札できるユーザーで、入札では最安値の売り入札として扱われます。
ユーザー情報変更を申請すれば、既存ユーザーでも承認電源用ユーザーに変更が可能です。承認電源用ユーザーでも先渡取引・時間前取引は実施可能です。

受渡契約の売買の別について

改定前は受渡契約の売買は、エリアごとに1契約のみでした。間接オークションに伴う改定後は、エリアごとに売り・買いそれぞれの契約を設定することが可能になりました。

売り用と買い用の契約が同じ契約でも可能です。移行時は現在の登録していた契約を売り買いそれぞれに設定することもできます。売りのみ、買いのみの契約設定も可能です。ただし、経過措置の支給ではここでの買い用契約コードと経過措置の受電側契約コードが一致することが必要です。

間接オークションは新規参入の足がかり

連系線の割り当て方式を先着優先ルールから間接オークションへと全面変更したことで、さらに電力の自由化が進み、新規参入者でも連系線による広域的送電の割り当てがしやすくなりました。

JEPXを介して利用割当を市場取引に基づいて行うため、市場ルールを理解しておくことが大切です。一方で、制度が変わることで取引方法や各種登録方法、経過措置なども変更になりました。変更点を踏まえながら、新しい体制の中で事業運営を成功させましょう。
重要ポイント
  1. 間接オークション制度導入により連系線の公平な競争が実現される
  2. 連系線利用割り当ては全てJEPXを介して市場取引される
  3. 間接オークション導入により、制度変更が多方面で起きているので対応に注意する

*Enabilityは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。

*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。