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Foresight in sight

Technology Foresight

Technology Foresightとは

3〜5年先のお客さまにおけるICT活用の未来像です。
市場動向/お客さま動向/技術動向から未来像を策定することで、お客さまに提供していくべき技術(ICT)の方向性を考えています。
Technology Foresightとは - 市場動向/お客さま動向/技術動向から未来像を策定することで、お客さまに提供していくべき技術(ICT)の方向性を考えています。

Technology Foresight extra issue 2020 - 新型コロナウイルスで変わる社会と企業や人々

新型コロナウイルスは、当たり前につながっていた企業や人々を数か月という短い期間で物理的に分断した。世界の多くの国と地域は日々増加する感染者数を公表し、それらを集めてデジタル化された情報は広がり続ける感染地域を可視化し、そして全世界に発信された。私たちは、情報により世界がつながっていることを実感し、世界のどこかで起こったことが、自分たちの身体や生活、そして社会に与える影響に不安を感じた。

私たちは、コロナ禍でさまざまな制約を受けて変化を迫られた。企業は、調達や販売、会議など物理的な場で行われていた業務のテレワーク化を推進し、従業員の働き方を変えた。また、生活の中でも多くの変化が起こった。外出制限からストレスは増加したが、仕事と家事・育児の関係は両立から共存へ変わり、過酷な通勤から解放され、地域でコミュニケーションが活性化した。急激、且つ一斉に起こった変化は、私たちにストレスを与えたが、自らが持つバイアスを壊し、新たに取り組んだ手法や様式に価値を見出し、躍動感あふれる波を生みだす人々も創出した。今後は、単に環境に最適化されたものではなく、変化する環境に適応するものがより生き残る時代になっていくだろう。これらの動きは、一部の人たちの変化を促すだけではなく、人々が抱えるさまざまな制約や課題を取り除きながら、多様な価値観を満たすための選択肢を生むことになる。

日本政府の専門家会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐには、今までとは異なる行動を続ける必要があるとして、「新しい生活様式」を提言した。人々の生活様式や企業活動の柔軟性を高めることは、有事において持続可能な社会を作り上げることにつながる。デジタルテクノロジーは、物理的制約が発生したコロナ禍でつながりをより強めるとともに、新たな手段・様式の創出に必要不可欠なものとなった。デジタルテクノロジーの活用により、自らのバイアスを壊しインクルーシブな社会の実現や、人々のQuality of Life (QoL) の向上などの新しい価値を作り出す活動はもうすでに始まっている。
Technology Foresight extra issue 2020 - 新型コロナウイルスで変わる社会と企業や人々

新型コロナウイルスで加速する社会の変化

私たちは、長期の外出自粛により価値観のバイアスを壊され、空間に縛られていたこれまでの生活スタイルに不便さを感じるとともに、新しい価値を発見し、それを新しい社会の基準として取り入れていく。以前は、当たり前のようにスーツに着替えて通勤し、指定された会議室に入り、仕事をしていたが、今では会議に多くの人がリモートで参加し情報を共有できるようになり、移動の時間が減ったことで、余暇の時間も増えた。日常生活では、仕事をしながら家事・育児を行い、あらゆるものが取り寄せ可能になり始めた。塾や仕事で子供から大人までオンラインを活用し、更にはオンライン宿泊やオンライン社会見学など新しいサービスも始まっている。今までは、リアルでのつながりが欠かせないという意識をどこかに持っていたが、一度できたデジタルの優位性は不可逆性を持ち、新しい社会の価値基準になろうとしている。

地域の安全と安心のための新たな仕組みづくりが始まる。未知なるウイルスに対する日々変化する情報により目的を見失った善意の行動は、悪意の無い風評の流布や新しいハラスメントを生みだした。私たちは、次々に異なる情報が出てくる中で、何を信じ、何に対処するのか、状況に応じて本質を見極めた判断が求められている。今後も感染リスクに対する不安は消えることはなく、自然災害と同様に感染リスクへの備えが必要となる。健康診断の項目に抗体検査が追加されるなど、予防医療の在り方も変わっていくだろう。地域、そして社会は、これからも情報アクセシビリティを高め、新たな地域の安全と安心を構築することが求められる。

今後の感染対策においては、グローバルの視点で持続可能な活動が欠かせない。自国でのウイルス対策を優先させ、対策が十分に出来ていない地域を無視することは、第2波、第3波の危険性を残すことになる。世界はつながっており、感染対策の教育や環境改善が出来ていない地域がある限り、自国の安全も守れないことになる。SDGsの目標である、「Leave No One Behind」、「持続可能な開発目標」は身近なテーマとして取り組まれるだろう。
新型コロナウイルスで加速する社会の変化

新型コロナウイルスと共に生きる企業

企業は、既成概念を取り払い、新たなコミュニケーションと働き方を取り入れ始めた。移動自粛により、多くの企業がテレワークにシフトを始めた。多くの企業が一斉に取り組むことで、不可能と思われていた業務でも試行錯誤を重ねてテレワーク可能であることがわかり、テレワークを前提にした業務の見直しが進む。会議などでも、顔色を伺う、空気を読む、目でモノを語ることなどが減り、音声と画像によるビジネスチャットなど新しいインタラクティブなコミュニケーションは、新しい居場所での多様な働き方を加速させる。

新たなコミュニケーションを獲得した企業は、より多くの企業や人々とつながり、インクルーシブな社会を生み出す。新しい生活様式が広まるとともに、新型コロナウイルスによる影響を受けた企業と人々への救済が加速していく。生産者と消費者がつながったOne to Oneの取引、使用しなかった財の再流通市場、飲食店の先買いチケット、非接触型サービスなど、さまざまな業界で新しいつながりが生まれる。また、コミュニケーションにおいて物理的な強みを持つ企業や提供される場にも、デジタルテクノロジーが浸透し、より多様な人が参加するインクルーシブな社会活動が加速する。

多くの企業が関係するグローバル経済では、自社の価値と他社の多様な価値をつなぐ企業は成長を加速させる。特に物理制約のある産業では、企業は自身の価値を明確にし、デジタルの活用でより多くの顧客と結びつくことで成長する。企業の統廃合やサプライチェーンの再編と分散が起こり、最適化を追求するビジネスモデルは変化し、リスクを分散するバランスを重視した企業運営が必要になる。企業活動のデジタル化は、日々の経済活動を支えるサービスだけでなく、サプライチェーンを含む企業間の情報連携を加速させる。その一方で、企業間を流れる情報の信頼性や、改ざんや漏洩のリスクの低減等、サイバー空間全体の信頼性を高めることが求められ、有事・平時を問わず安全・安心で持続可能性の高いレジリエントな社会システムの構築が加速する。

企業は、大きな変化に合わせてゲームルールを変化させ、迅速に価値のある新たなサービスを提供することで、自身のブランドを向上させ、消費者と新たなつながりを構築する。従来の環境に対して最適なビジネスモデルを維持するのではなく、企業本来の強みを把握し、常に環境の変化を予測し、新たなサービスを適用し続ける企業こそが、消費者からはロイヤルティを獲得し、企業の価値を向上させていく。
新型コロナウイルスと共に生きる企業

新型コロナウイルスで変わる人々と社会・企業のつながり

新型コロナウイルスによって、人々は再び自らが社会の一部であることを理解した。自らの振る舞いが社会に影響を与え、社会の改善が自らの生活を改善することに気がついた。その結果、人々の個人情報に対する意識は、新型コロナウイルスによりリスクヘッジからリスクバランスへと変化した。感染者拡大を防ぐために公的機関はスマートフォンアプリによる感染ルートや濃厚接触者の把握と追跡を始めている。感染を防止するため報道機関は携帯位置情報サービスを利用した外出自粛状況を公開し、小売業は画像分析による店舗の混雑状況の把握と入場制限などの対応を行った。個人の情報が取得される機会が増えるとその漏洩リスクとプライバシー侵害への懸念も増加する。しかし人々は、自身の情報を開示して活用することが、自分を、家族を、そして地域を守ることにつながることを理解し、これまでのリスクヘッジから地域や社会を含めたリスクバランスへとその観点を変化させた。今後、低価格のウェアラブル端末が普及し取得しやすくなったバイタルデータを用いた健康管理サービスは利用者が増加するであろう。また、マイナンバーなど個人に紐づくIDを活用した特別定額給付金申請などの公共サービスも、その便益を迅速に享受したい人々に積極的に利用されるだろう。

コミュニケーションの変化により、働く人々と企業との関係が変化する。通勤からの解放要求が増加し、新しいコミュニケーションデザインにシフトできない企業では、社員の企業に対する帰属意識が低下する。地理的な制約を解放するオンライン訪問、オンラインセミナーの増加は、過剰となったオフィススペースの解約に加えて、企業とその組織の活動の在り方も変化させる。経営者は、組織とその活動範囲、指揮系統、評価、コミュニケーションの在り方をリデザインすることを求められる。よりよい働き方とそれを提供する企業を求める人材が刺激され、転職や副業が加速し、積極的に変化に対応した企業は人材の流動性の恩恵を受ける。
新型コロナウイルスで変わる人々と社会・企業のつながり

持続可能な新しい社会と企業を支えるデジタルテクノロジー

人々や企業は、安全・安心を確保してその活動の持続可能性を高めるために、従来の自然災害に対する備えに加え、これまであまり意識されてこなかった感染症にも備えた新しい社会とそれを支える社会インフラを求めるようになる。コロナ禍において、新しい社会インフラにより、人々と企業は、その活動を安全な環境で安心して継続できるようになる。

災害や疫病などの危機に直面しても、社会と企業、社会と人々が持続的につながり続けるためには、損害を減じ素早く回復できる社会と都市が必要になる。レジリエントシティは、突発的な外的な危機にも慢性的な内的な脅威にも粘り強く対応し、困難から素早く回復する能力や強靭性をもつ持続可能な社会と街を作ることを意図している。平時には、経済活動支えるためにエネルギー供給や移動通信手段などを最適化し内部からの脅威に対して備える。有事に向けては、感染症の流行、自然災害、テロリズムなどの外的ショックの発生に備え、影響を最小化しながら回復させる。

企業も従来から外的な危機に対して備えてきた。製品やサービスを提供するまでのサプライチェーンにおいて、多くの企業が関係している。このような多層化したビジネスでは、経済的効率性のみならず、危機に対する堅牢性に加えて、回復にむけた弾力性が重要である。デジタルサプライチェーンでは、IoTやAIで集めた人や物の情報をクラウドに集約し、アナリティクスやAIで解析することでオペレーションを可視化し、サプライチェーン全体で最適化を図る。コロナ禍においても、複数の企業や研究機関が創意工夫を凝らしたフェイスシールドの設計情報を公開し、世界各地の工場が3Dプリンターを使って製造することで、リスクを抱える医療機関に届けられた。グローバルに展開されたデジタルサプライチェーンを導入する企業は、危機発生時の堅牢性、回復期の弾力性を高めていく。

有事の際の対応力を強化する上では、平時にオペレーションのノウハウ蓄積することに加えて、各種状況をいち早く把握できる環境を構築することが重要である。人工衛星による気温、海面温度、地表の水分含有量、積雪量、植生状況、森林火災の発生状況の観測では、いわゆるリモートセンシング技術と分析技術・AIパターン認識を活用する。また、平時における対応計画の立案や有事の際の回復に向けた対応には、シミュレーションが欠かせない。デジタルツインによるミラーワールド化が今後加速し、サイバー空間上で社会全体がモデル化されれば、大量計算技術を用いたシミュレーションを用いることで、さまざまな危機に対して備え、脅威に対しても対応することができる。また、エネルギー供給や移動通信手段を最適化する際には量子コンピューターの利用が期待される。
持続可能な新しい社会と企業を支えるデジタルテクノロジー

これからのウェルビーイングに貢献するデジタルテクノロジー

デジタルテクノロジーの活用により、年齢や性別などの個人の属性データ、購買履歴などの行動データに加えて、バイタルデータ、声の抑揚・表情などの感情データなど、生活者から得られるさまざまなパーソナルデータが蓄積される。これらのパーソナルデータは発生した場所やその天気なども含めて組み合わされ、生活者のコンテキストを理解するために利用される。人をより深く理解するデジタルテクノロジーの進化は、新しい生活様式での身体的距離の確保や移動の自粛の制約の中でQoLをさらに向上させ、ウェルビーイング、幸福になることに貢献する。

新しい生活様式が当たり前になり、さまざまな活動が社会全体で最適化されていく中、私たちひとりひとりがよりよく生きる権利を追求しつづけることも重要である。多様化が進む人々の生活や働き方において、パーソナリティとコンテキストに最適化したサービスや商品が提供されれば、人々はその利用を通じて良い体験をしたと感じる。高速ネットワークやXR (VR/AR/MR/SR)の普及、ウェラブル生体信号センサー、Brain-machine Interfaceなど新たなデジタルインタフェースの発展は、時間と居場所、身体という制約からコミュニケーションを開放して、新たな体験の形をつくる。新型コロナウイルスが引き起こした空間制約に影響を受けた旅行業界でも、その“体験”が与える価値を抽出し、オンラインツーリズムとして提供することで、多様なコンテキストを持つ人々に合わせた新たなサービスが生まれている。

バイタルデータや感情コンピューティングによってリアルタイムで人の状態を把握できると、会話エージェントは利用者の体調を把握し、健康の管理と維持について助言し、悩みの相談相手となることも可能になる。さらにセンシング技術の発達により、普段とは異なる接触や状態の変化を検知し、感染機会を予測することが可能となり、人々は感染症に対して予防策をとることができるようになる。オンライン診療においても、デジタルテクノロジーが援助・介在することによって、患者側の対話内容の理解度や対話中の感情が可視化される。また、コミュニケーション方法としてチャットや映像、オンラインボードなど聞き手にとって伝わりやすい手段を選択することで、より納得性の高い診察が行える。パーソナライズされた診療サービスにより人々の健康管理も変化する。

それぞれの人の体調・感情、そして生活環境をセンサーで取得して紡ぎ合わせて深く人を理解する際には、自然言語解析技術と知識工学、立体物のデータ解析技術など、さまざまなAIが活用される。また、デジタルテクノロジーは、生命情報科学(バイオインフォマティクス)を支える技術でもある。遺伝子解析、タンパク質の構造解析・合成、各種データマイニング、組み合わせ最適化などが利用される。これらの技術はパーソナライズされたサービスによりひとりひとりのQoLの向上とウェルビーイング、幸福な生活に貢献する。
これからのウェルビーイングに貢献するデジタルテクノロジー

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