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Foresight in sight

ユニシス技報

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2019年3月発刊 Vol.38 No.4 通巻139号
「生命科学」

本特集号では,生命科学(ライフサイエンス)とITの力で生み出した技術により,一人ひとりの生き方が広がる社会の実現を目指す,日本ユニシスの取り組みを紹介しています.また,業務提携先の大日本印刷からも同テーマで寄稿いただきました.

関節リウマチ画像診断のためのコンピュータ支援手法 高橋 英治

日本における関節リウマチの患者数は60 万人を超えると推定され,その対策の社会的重要性はますます増大している.優れた抗リウマチ薬や生物学的製剤の登場により,関節リウマチの早期診断,早期治療の意義が注目されている.関節破壊の進行は単純エックス線写真を用いたスコアリングによって検出可能であるが,読影に時間がかかることや再現性に欠けることが問題である.この問題の解決手段として,コンピュータを用いた画像診断支援システムの開発が期待されている.本研究では,手の単純エックス線画像から自動で骨格構造を認識し,2 時点間の画像を用いて関節裂隙幅の経時変化を定量化して画像診断を支援するシステムの開発と実験を行い,良好な結果が得られた.

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眼から病気を探る画像処理技術 茂出木 敏雄

本稿は,タイトルに掲げている画像処理技術が元来支援する対象である,ヒトの視覚系そのものを画像処理の対象にしようとする試みである.はじめに「森を見て木を診る」アプローチとして頭部MRI を用いた強度近視の診断に使用される画像処理技術について述べる.本診断においては眼球の伸張や変形をマクロな視点で解析することが重要になり,それには眼球全体を映像化できるMRI が最適である.続いて眼科の主流である「木を見て木を診る」アプローチとして眼底カメラを用いた眼科疾患の診断に必要となる画像処理技術について述べる.緑内障や加齢黄斑変性の診断では眼底画像のランドマークである視神経乳頭や黄斑領域の周辺を抽出してミクロに解析することがポイントになる.最後に「木を見て森を診る」アプローチとして,眼科検査機器を生活習慣病の診断に活用するための画像処理技術について述べる.「眼は全身状態を映す鏡」と言われるように,眼底画像から糖尿病を診断したり,眼底の主要な動静脈を解析することにより高血圧や動脈硬化など全身の循環器系の診断に活用できることを述べる.海外ではスマホ型眼底カメラが安価な医療機器として普及しつつあるため,本稿で述べる眼底画像の各種解析アルゴリズムに対しディープラーニング技術等を活用して高精度化してスマホアプリとして実装すれば,本年解禁になった遠隔診療の新規な診断デバイスとしての活用が期待できる.

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文書レビュー時の視線計測情報によるレビュー品質の解析 斉藤 功樹

ソフトウェア開発では,上流工程における仕様書や設計書の品質が重要であり,様々なレビュー手法が存在する.レビューの定量的な品質評価は,実施率や不具合検出率が用いられるが,それらの指標だけでは正確に評価できない.近年,視線計測情報を用いた文書の読み方に関する研究が盛んに行われている.そこで,本研究では,要件定義書レビューを模した実験を行い,視線情報から品質を評価した.その結果,レビュー品質には「瞬目時間の割合」と「瞬目回数の割合」の二つの特徴量が重要であり,品質の高いレビューアの瞬きは,平常時から増減された状態にあることが分かった.平常時よりも減っている場合には,レビュー時間に比例して品質の向上が確認された.一方,平常時よりも瞬きが増す場合の品質は分類できていないため,今後の研究課題となった.

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コミュニケーション基盤としての文字 高橋 仁一

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アイデア創出の促進および阻害要因の解消 中原 和洋

創造性研究において,アイデアを創出するプロセスを制御するものとして,類推などの斬新な着想を促進する創造的思考法や,固着などの阻害する要因が知られるが,これらの制御は,属人的なスキルや創造技法に依存している.本稿では,アイデアの創出を促進し,阻害要因を解消し,創造的な成果を生み出せる環境を提供することを目的とした創造活動支援システムの研究構想を提案し,そのプロトタイプを示す.また構想の研究事例として,個人の拡散的思考中の既出アイデアへの視線停留時間の長さが着想の柔軟性を低下させる要因となるかどうかの仮説検証研究を報告する.実験の結果,アイデアへの停留時間の長さと柔軟性の間に有意な関連は確認できなかったが,瞬目率と柔軟性との間には,先行研究と類似する結果が得られた.

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匂いの気づきやすさが香りの好悪に影響する食品の探索 宮村 佳典

今後作られる情報銀行に集められる多種多様なパーソナルデータは,知覚を利用した個別食品嗜好予測により,自分でも気が付かなかったお気に入り食品の発見を可能にすると思われる.本研究では,このような知覚的食品推薦システムへの第一歩として,日本語版Odor Awareness Scale(OAS)と食品香気の嗜好性との関係を分析した。まず因子分析により食品の香りの嗜好性は少なくとも5 因子あることを明らかにした.次に,嗅覚に影響する年齢,性別で集団を6 群に分けた。最後にOAS と食品香り嗜好因子や個別食品の香り嗜好との相関を各群で調べた.その結果,OAS と関係のある香り嗜好の因子や食品を見つけることができ,特に,若年層(25-34 歳)の女性では,この相関がより多く見られることを明らかにした.

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AI倫理に関する現状 芳田 千尋

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