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Foresight in sight

ユニシス技報

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2020年9月発刊 Vol.40 No.2 通巻145号
「研究開発」

日本ユニシスグループは,技術の変遷を幅広く見据え,現在や5年後,10年後に有用となる技術の研究開発に取り組んでいます。本号では,社会課題の解決を目指した問題提起と,中長期的な視点に立った先端技術のテーマ設定を行い,それらに続く実践的な研究を紹介しています。

未来に向けたデジタルビジネスを共に創るための研究開発 小椋 則樹

近年,高度なデジタル技術により社会課題を解決する,または新たな価値を生み出し豊かな未来社会を目指した活動が活発に行われている.その反面,その技術の活用による社会変化のスピードが速すぎ社会構造のバランスを崩している現象も現れている.研究分野は細分化が進み一般市民には分かりづらくなり,その技術に対しての理解や関心をより遠ざけている.しかし,目指すべき未来社会の創造には,研究者の成果だけではなくそこで実際に生活する市民の関与が必要である.そのためこれからの科学コミュニケーションのあり方は,研究者と市民の双方向の対話のなかから目指すべき社会像を一緒に描き,イノベーションや新たな価値を生み出していくことである.

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天空光源シミュレーション 奥村 知之

日本ユニシスでは地上から見上げる太陽光線をシミュレーションする「天空光源シミュレーション」の技術研究を進めている.この技術研究は構造物の劣化や人類の健康などに関係する太陽紫外線と,植物の育成や景観に関係する太陽可視光線,熱に関係する太陽赤外線の各波長に対するエネルギー強度や積算値を日時・場所・照射される方向に応じて計算するものである.
実際に計測した紫外線・可視光線・赤外線強度の実測値とシミュレーションの計算値とを比較したところ,よく一致していることが分かった.このシミュレーションにより,日本付近の20 年後の紫外線分布といった未来の観測データの予測も可能である.

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マルチモーダル空間認識技術 武井 宏将

本稿では,実環境から取得する空間センシングデータを利用した空間認識技術の研究および課題への適用事例について紹介する.空間センシングデータとは,視覚情報を表現する画像情報や三次元空間を表現する三次元点群等を指す.これらの空間センシングデータの活用には,マルチモーダル処理が有効な役割を果たす.マルチモーダルとは,複数のデータソースを利用した処理を指す.ヒトが,視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚の五感を駆使して様々な判断をしているように,複数の空間センシングデータを駆使して活用することで,単一ソースでは実現できない処理や,単一ソースで処理するよりも精度の高い処理を実現することができる.
2019年日本ユニシスは,人間の認識・判断を再現する空間認識プラットフォームBRaVSをリリースした.BRaVSは,マルチモーダル空間認識処理を行うために,ワンパッケージで画像や三次元データ・音を解析できる構成となっている.
今後,マルチモーダル空間認識技術の確立に向けて研究を進めるとともに,BRaVSを通じて技術提供をすることで,様々な課題解決に貢献していく.

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観光アンケートデータの分析方法 ──観光を数量化する 松田 芳雄,石黒 崇敬

各自治体はサスティナブルツーリズム(持続可能な観光)の実現に向けた取り組みを求められており観光に関する政策評価につながる効果測定のため,観光入込客数等について調査事業を行っている.各政策への資源投入に対してどの程度地域に寄与をしたのか判断するための有効な評価・分析手法は確立されていない.数値化されていない旅行者の行動特性および旅行先の魅力度・集客力を評価する旅行指数を作成し観光消費額モデルという分析のフレームワークを開発した.これにより観光客や観光地の特性を知りその観光地のある地域にとって効果的・効率的な政策が展開されているかどうか評価・分析し「地域づくり(スマートタウン構想)」に貢献できる.

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キカイのチームメイトと共に課題に挑む 山田 茂雄

自らの考えと決断で行動する主体性を持ち,人間と互いに考えや思いを察しあい協調する能力を備える自律ロボットやソフトウェアエージェントが世に現れれば,それらは私たちが問題を乗り越え課題を達成するための強力なパートナーとなる.それら「キカイ」は私たちのチームの一員として工場の生産ラインで皆と肩を並べて物を作ったり,課題を前に皆で考えアイデアを創ったり・答えを探したり・決断したり,地震や原発事故など災害対応ではレスキュー隊の一員として皆で図り,現場の状況を理解し,息を合わせて行動して任務を全うしたりする.その来たるべき世界を展望し,キカイの知能と能力との関連を考察してそれら世界を実現せしめる問いを立て課題を導出する.

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矛盾を許容する知識管理データベース 中山 陽太郎

データベースは情報を蓄積する知識ベースであり,エージェントの頭脳となるものである.矛盾の許容とは,不確実な情報やあいまいな情報に対して情報の適切さを認識し,内省的認識の上に成り立つ論理の解釈である.従来のデータベースは,厳密な整合性に基づきデータを管理するが,現実世界の不整合な情報への耐性を備えていない.矛盾を許容する知識管理データベースは,増加する新たな情報によって既存の知識やルールを更新し,また不確定な情報や矛盾する情報に対し,適切さの可能性を認識して管理する.この実現に向け,粒状推論により拡張した認識状況計算を抽象化と具象化の思考プロセスに適用した.

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ベイズ法を用いたパラメータベースの方策探索 星野 力

強化学習は,教師信号が明示的に与えられず,報酬だけが得られるタスクで利用され,多くの成功を収めている.しかしながら,学習に頑健性がないことや,ハイパーパラメータの細かいチューニングが必要なため,新しいタスクへの適用は容易ではなく,強化学習の広い適用の障害となっている.頑健性がない理由のひとつとして,既存の手法は,報酬や方策パラメータの不確実性を明示的に考慮していないため,学習過程での確率的なゆらぎに強く影響を受けてしまうことが考えられる.本稿では,ロボットの制御などを含む連続的な状態空間と行動を持つ環境を対象に,パラメータベースの方策探索について,ベイズ法を用いて不確実性の問題点を解決する手法を提案する.はじめに,報酬と方策パラメータの不確実性を明示的に考慮に入れた目的関数を定義する.さらに,設定した目的関数を効率的に最適化するアルゴリズムを与える.数値実験を行い提案手法の有効性を調べたところ,提案手法は,方策パラメータの分布のエントロピーを通じて,報酬の探索と獲得の適切なバランスをとることにより,従来の手法より安定してタスクを成功させることがわかった.この結果は,提案手法が,安定した学習によりタスク達成までの試行回数を減らすことによって,強化学習の適用範囲を拡大する可能性があることを示唆している.

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【記事】プロセス理論としての量子計算 川辺 治之

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